
「義妹は、認知症になった義父からこっそりお金をもらっていたようなんです。モラハラ気質の義父でも、実の娘はかわいいもの。無職の夫で家計のやりくりが大変な義妹は、夫にも内緒で義父にお金を無心。義父は認知症でお金をあげたことも忘れてしまうので、それを利用してどんどんお金を巻き上げていたようです。もし夫が義両親を引き取ってしまうと、こっそりお金をもらうことができず、断固反対していたようです」
沖田さんは、義妹の日々の発言などから、うっすらそのことに感づいていましたが、夫は全く知らず、長男だからと義両親を引き取ることにしてしまいました。義妹はそれに激怒し、一切面倒を見ないとブチ切れ。
さらに夫も自分で面倒を見ると無謀な計画を立ててしまい、それに沖田さんは巻き込まれるはめに。沖田さんも仕事を持っていたため、平日は協力できないと伝えると、平日はデイサービスをできるだけ活用し、週末は沖田さんに協力を求めてきました。
「ただでさえ仕事で忙しいのに、大事な休日は介護に充てなくてはならないことにゲンナリしました。身体が持たないと思うと正直に伝えると、義父が入れる施設を探しているから、それまでは協力してくれないかというのです。なるべく早く施設に入れてくれるようにお願いし、少しだけの間ならと協力することにしました」
夫の事務所に手すりなど介護に必要なものを搬入し、いざ介護が始まりました。ですがどんどんひどくなる認知症、介護の素人にはとうてい扱いきれません。
「ついに義父がトイレの場所を分からなくなり、週末は義父を追いかけまわしてトイレに連れて行くだけで精いっぱい。それでも粗相をしてしまうので、それを片づけて帰宅。疲れが全く取れないまま、また週が明けます」
夫は沖田さんが週末通ってくれるのをいいことに、施設を探しているといいながら、なんとなくそのままにしている様子も見受けられるとか。
「わたしが倒れる前に、義父の施設を見つけてくれないと、わたしが先に死んでしまいそうです。義父が認知症になるなんて想像もできませんでしたが、そういうことも含めて、できれば事前にきちんと話し合っておけたらよかったと思いました」
高齢化の時代だからこそ深刻化する介護問題。確実に迫ってくる問題だからこそ、早めに家族で話し合っておくことが必要かもしれません。
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<文/塩辛いか乃>
塩辛いか乃
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。
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@yukaikayukako
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