極めつけは、英雄が2024年4月22日にアップした投稿。「日本統一」シリーズ撮影中のオフショットを素材に若返りアプリを使う。若返った英雄の姿は、「アプリで若返りを押したら太賀になった」というキャプション通り、太賀と激的に似ている。
別に若返らなくてもそっくりなのに、アプリ機能を使うとここまで瓜二つになる。見た目だけじゃなく、演技面でも似てるところがある。相手に対してパッと見開く、その目。
代表すべきは、北野武監督によるサーガ「アウトレイジ」シリーズ。第1作『アウトレイジ』(2010年)で荒くれヤクザ・木村(中野英雄)が、北野扮する大友組組長に顔を切りつけられる場面がある。メンチを切る木村が我慢比べのように目の中央に力をチャージする。英雄屈指の名演。
同作ラスト、刑務所に入所した大友を待ち構えていた木村が、大友の横腹を一突き。特に目を血走らせるでも、見開くでもなく、刺したあと、ただ静かに佇む。静と動のダイナミックな振り幅を特徴とする北野作品ならではの演技である。
このように英雄の演技は、内に濁流のような勢いがうずまくのに、それをやたらめったらアウトプットしない。目を見開く瞬間は、与太者の凄み満載だけれど、控えめといえば控えめ。
そんな父の静かなるダイナミズムを踏襲しながらも、独自に拡張させるのが、仲野太賀である。彼もまた見開く目が圧倒的アピールポイントになる俳優なのだが、太賀の場合は、見開くどころか、カッと開くといったほうが表現が的確だろう。