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バラエティに引っ張りだこだった36歳女優が、“かつてのトレードマーク”を手放して得たもの

本作の主演で得たものとは?

 そんなイメチェン路線は今や定着しつつある。『ラブリラン』以来の主演ドラマで、同作と同じ放送枠である『約束 ~16年目の真実~』でもショートのボブヘアー。『着飾る恋には理由があって』より少し長いくらい。すっきりした美しさをたたえている。  本作で実りの時期に入った中村は演じるのは刑事。全身黒コーデ。えっ、もしかして古畑任三郎をイメージしてるのかと思いきや、第1話冒頭、田村正和扮する古畑警部補のような軽快さはまるで感じられない。  中村が演じる主人公・桐生葵は、確かに警部補だが、ほとんど笑わない。殺人現場を見渡す視線の静かな冷たさは、俳優として悦に入ったような根っこの強さを感じさせる。  前髪が目元ぎりぎりのところでピタッと立ち止まるかのようで、葵が抱える過去の事件の記憶が宿る瞳も怪しい魅力を放つ。中村アンに今、化学変化が起きようとしていると感じる強さであり、2度目のリバース。  本作の主演で中村が得たものは、自分のビジュアル変化をうまく生かしながら演じるキャラクターと完全に合致しようと、中村流に編み出した演技メソッドではないだろうか? <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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