世の中には子どもができず、特別養子縁組をする夫妻がいる。あるいは里子を育てている人たちもいる。子どもがいない生活を楽しもうと決めるカップルもいる。また、悠子の友人の画家・りりこ(中村優子)のように誰ともセックスはしないと決めている人もいるだろう。産む女、産まない女、産めない女……。それぞれに苦悩を抱えている。
遺伝子を残したいのは生き物としての本能だろう。だが、遺伝子を残すために手段を選ばないのは人間だけだ。そして
「子」を巡っては、女性だけが心身ともにつらい思いをする。その理不尽さを、リキも悠子も痛いほど味わっているのだ。悠子の義母である千味子でさえ、つわりに苦しむリキを手伝いにいって罪悪感を覚えてしまう。原作にはないシーンだが、黒木瞳がその罪悪感を悠子に向かって吐き出すシーンは迫力があった。ただ、人は生まれながらに不公平であり、千味子の罪悪感が「持てるものだけが覚える上から目線の罪悪感」なのが虚しい。
それぞれの女性たちが抱える、それぞれの喜怒哀楽と息詰まるような心理を、このドラマは丁寧に描いている。男にとって女にとってと
性別でカテゴライズするのはむずかしい時代だが、それでも「産む」のは女に限られている。どうがんばっても男には産めないのだ。だからこそ女は哀しい。そして女はたくましい。
9回目の最後、基がりりこの家にいるリキを訪ねてくる。話している途中でリキが破水した。最終回、どういう結末が待っているのだろうか。
<文/亀山早苗>
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