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お金に困って“子宮を売り渡した”貧困女性と、買った夫婦の“息が詰まるような罪悪感”。代理母出産をめぐるドラマの結末は

妊娠したが、依頼者の子どもかどうか分からない

 前金が振り込まれた。だが人工授精をする数日前、彼女は実家に戻り、以前の不倫相手に会ってホテルに行ってしまう。それは基が、地元に帰るなら連絡くらいすべきだとか、日常生活における細々とした注意を書き送ってきたのが原因だった。自分の自由を侵される恐怖と怒りから、彼女は元不倫相手と寝たのだ。さらに東京に戻ってから、今度は、代理母になると決めたとき、どうしても気持ちいいセックスがしたくなって女性用風俗で買い、そのまま友だちになったダイキとも寝てしまう。リキの心の中には、「生殖のために買われる」ことへの違和感がつきまとっていたのだろう。
 人工授精の結果、妊娠したが、リキは「おそらく基の子だ」と思いながらも不安が拭いきれず、基の妻の悠子にすべてを打ち明ける。悠子はそもそも、代理母には前向きではなかった。だが自分が原因で基夫婦を離婚させたこと、不妊も自分が原因であることなどから、どうしても反対ができなかった。リキが妊娠したと聞いたとき、悠子は「自分の存在って何?」と衝撃を受ける。夫の子ではあるが、自分の子ではないのだ。それでも夫の子を育てていけるなら、夫が喜ぶならと受け入れた。だが、リキは、他の男の子である可能性もあるというのだ。悠子はその話を夫にすることができなかった。

子どもは誰のもの? 人の心は契約では縛れない

 リキはひどいつわりに苦しむ。子どもは男女の双子だった。悠子は「産めなかった自分」がつらくてたまらない。自分が蚊帳の外に置かれているようで、孤独感に苛まれる。そしてついに秘密を抱えきれず、リキの子が他の男の子である可能性もあると夫に告げる。  契約違反だといきり立つ基。だが、人の心は契約では縛れない。 「子どもって誰のものなんでしょう」  妻からリキの素行を伝え聞いた基がリキに投げかけた言葉だ。リキはそれには答えない。堕ろせるのは21週の6日目までですからと淡々と答える。
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それぞれの女性たちが抱える、息詰まるような心理
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