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NHK『虎に翼』登場の25歳俳優の“出身地ならではの繊細さ”。色っぽい横顔にも注目

弱々しさと凛々しさが矛盾しない

 相続の権利を主張していがみ合う徹太や次男・大庭徹次(堀家一希)、祖母・大庭常(鷲尾真知子)、徹太の妾・元山すみれ(武田梨奈)に対して、光三郎は中立の立場で必死に仲裁に入ろうとする。  でもまだ学生の彼の言葉が、民法が改正されてもなお、家父長制が根深いこの一家の対立を抑制することはなかなか難しい。  梅子は光三郎について、「お人よしが過ぎる子」と言う。頼りないわけではないが、力強い推進力があるわけでもない。性格が優しい分、極めて繊細で、どちらかと言うと弱々しい存在。  ただ、この繊細な弱々しさと持ち前の凛々しさが矛盾するかと言うと、そうではない。ものすごく紙一重。それが光三郎の大きな魅力であるのだが、本田響矢が、実に的確にそのキャラクター性を伝えている。

取材現場でのエピソードトーク

『ジャックフロスト』(MBS)公式サイト

『ジャックフロスト』(MBS)公式サイトより

 本田響矢という人は、おそらく現在の若手俳優の中でもっとも繊細な演技を得意とするひとりだろう。単に技術的なことではなくて、何か本能的に、素肌で繊細さを表現できてしまう感じ。  ドラマ初主演作となった『ジャックフロスト』(MBS、2023年)で、筆者はオフィシャルライターを担当したのだが、その取材現場でのエピソードトークや空気感をよく覚えている。同作は、イングランドの霜の妖精ジャックフロストをモティーフにしたBLドラマ作品。  雪の情景と本田が妙にマッチしているなと感じ、「雪国の出身ですか?」と筆者が聞くと、「福井県の出身です。まさに雪国です」(2023年4月26日BANGER!!!掲載インタビュー)と答える。雪国育ちの人はどこか抒情的で、だからこそ、凍てついた雰囲気の画面上で、繊細に研ぎ澄まされるのではないか。  本田自身、雪のような肌の白さで、凛々しさを洗い上げている。ほんとは彼が雪の妖精なんじゃないかと思ってしまうくらい。そんな出身地エピソードを語ってくれる間もまた繊細な冬景色が目の前に広がるような気がした。
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繊細さが大胆さへと踏み込んだ瞬間
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