そのようにしてデートするようになった2人でしたが、紗奈さんは「自分がしてもらったように浩哉さんについてもっと深掘りしたい」と思いつつも、なかなか上手くできなかったそう。
「
実は浩哉さんの趣味は“歴史”なのですが……恥ずかしながら私は歴史が得意ではなく、基礎知識も乏しいんです。そんな引け目もあって上手く受け答えができないし、気の利いた質問もできなくて」

そんな自分に不甲斐なさを感じてしまった紗奈さんでしたが、せめて浩哉さんの好きなものに寄り添う気持ちがあることを伝えたいと思い、ある計画を立てました。
「浩哉さんは吉田松陰(江戸時代末期に活躍した思想家・教育者)が好きだと言うのでWikipediaで調べてみたら、たまたま誕生日がもうすぐだったんです。だったら私が腕を奮って
吉田松陰の似顔絵つきのケーキを作って浩哉さんをもてなして、一緒に生誕祭ができたら楽しいかなと思ったんです」
我ながらナイスアイデアだと思った紗奈さんは、まず桃代さんに「もっとこのパーティーを盛り上げるためにはどうしたらいいと思う?」と相談したそう。

吉田松陰像
「すると『吉田松陰のことよく分かってない人にそんなことされても、嬉しくないと思うよ。下手したらバカにしていると誤解されるかも。
相手の大事にしているフィールドに土足で踏み入るような真似は、やめておいた方がいいんじゃない?』と注意されてしまいました。それで頭にきて、そのまま言い合いになってしまったんですよね」
紗奈さんは「もしそんな風に私の好意をマイナスに捉える男性ならどうせ長くは続かないし、
だったらそれを確かめる意味でも絶対にパーティーは決行するぞ」と心に決めました。
「そしてパーティー当日、浩哉さんには『うちで一緒にランチをしよう』と誘い、部屋に入ったらパーティーの用意がしてあるというサプライズの形をとったのですが……」