さて、2人の間に何が起こったのでしょう?
「まず私が鳴らしたクラッカーの音に驚き、最初は何が起きたのか分からない様子でしたが、事態を飲み込むと笑ってくれて『今日が吉田松陰の誕生日だって僕も忘れていたよ。こんなの初めてだからビックリしちゃって』とすごく喜んでくれてホッとしました」
そして「
松陰は甘いもの好きで知られているから、きっとこんな風にケーキにしてもらえて喜んでいるに違いないよ」と、今まで見た中でいちばんの笑顔を見せてくれたそう。

「そこで浩哉さんが『こんな風に一緒にお祝いできるなんて夢にも思わなかった。しかも、
ケーキ作りっていう、紗奈さんの得意分野に落とし込んでくれたのが嬉しい』と言ってくれて。何だか胸のつかえがとれたような気持ちになれたんですよね」
その日から紗奈さんは浩哉さんに対して、
あまり引け目を感じずに歴史のことについて気楽に質問できるようになりました。
「ありのままの私を受け入れてくれるということが分かったので、バカだとバレてしまいそうな基本的なことでも素直に聞けるようになったんですよ」
そしてその数日後、桃代さんから謝罪の電話がきたそう。
「桃代は『私にはたとえ恋人や夫であっても足を踏み入れて欲しくない領域があって、適切な距離感で見守ってくれるのが愛だと思ってしまう性格だから……この間はその考えを押し付けてしまってごめんね』と謝ってくれました。私たちは性格が違うって分かっているのに、ちょいちょいこんな風にケンカを繰り返してしまうんですよね」
そして和解した桃代さんに、生誕祭成功の報告をするととても喜んでくれました。
「やっぱり私と桃代は運命が近いようで、私も浩哉さんと結婚の話題がでるようになってきたんですよ」と微笑む紗奈さんなのでした。
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<文・イラスト/鈴木詩子>
鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
@skippop