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「棒読み」と言われがちだけど…唐田えりかが“日本エンタメ界の宝”と言えるワケ|『極悪女王』

才能が静かに解放される瞬間

Netflixシリーズ『極悪女王』独占配信中

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 ここまで指摘してきたように、いずれの作品でも唐田の初登場場面は、あまりにもさりげなく単純な動きとして演出されることが多い。極めつけが、青山真治監督が演出を担当した志尊淳主演ドラマ『金魚姫』(NHK BSプレミアム、2020年)。  同作で志尊扮する主人公・江沢潤の元恋人役としてちょうど中盤に入ろうというところで唐田が初登場する。潤が入ったホテルのロビー奥のカフェの柱からさらっと登場する。引きの画面上、どこからともなくやってきましたという感じの唐田が、おどろくほど際立っている。うーん、なんだろうなぁ、このあくまでさらっとした存在の主張って。  同役の登場の仕方を踏まえると、『極悪女王』の長与千種役はいわば、俳優としての存在を主張するためのゆるやかな所信表明みたいなものかな。プロテストに合格したものの、デビュー選は惨敗。得意の空手で逆に八方塞がり。先輩にはいじめられる。 「引退」の一文字を吐きかけたとき、同期で先にプロテストに合格した北村智子(剛力彩芽)からデビュー選の相手を申し込まれる。彼らが寝泊まりする寮の外、指名される千種が夜風に吹かれる。なびく髪。唐田の凛とした表情。これはくるぞ。  ここまで実力を隠した状態だった唐田が、ライオネス飛鳥(智子)のデビュー選リングに立ち、相手に強い視線を向け、気合い新たに両腕を広げる。カメラが寄る。唐田えりかの才能が静かに解放される瞬間を見逃すな! <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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