Snow Man渡辺翔太がバラエティMCに圧倒的に向いているワケ。過去にも見せていた“振る舞い”とは
初MC番組から演技まですべてが地続き
あぁそうだ、連ドラ初単独主演作『先生さようなら』(日本テレビ、2024年)でも主題歌が絶妙なタイミングでぴたりと画面にはまっていた。第1話、渡辺演じる美術教師・田邑拓郎(めがねをかけたしょっぴーもいい!)が、好きなことが特にないと決め込んで、漠然と学校生活を送っている城嶋弥生(林芽亜里)にデッサンの手ほどきをする場面。ふたりだけの教室内。外はすでに暗い。窓際の渡辺が立ち上がった瞬間にSnow Manの主題歌「We’ll go together」が画面とぴったりはまる。 トップバッターはもちろん渡辺。『青島くんはいじわる』では、主題歌が大抵屋外シーンでかかるのに対してこちらは、『先輩と彼女』(2015年)などでも知られ、特に教室の窓際あたりに情感を作る才人、池田千尋監督が演出する密室的屋内。両作それぞれの空間で微妙に色気の漂わせ方が変わるのだが、『先生さようなら』第2話で主題歌がかかる直前、夜の室内で「だって俺、先生にとって、特別っしょ?」と台詞を発する渡辺の色っぽさはただ事ではないと思った。 アイドルの資質と俳優の才能が見事にオーバーラップする。この色っぽさをいつまでも画面上にとどめていようとする意志でもあるかのようなタイミングで「We’ll go together」がかかる。同曲のミュージックビデオがもっとすごい。冒頭、渡辺本人に導かれてエレベーターを降りるとそこはレストラン。シャンパングラスを傾けるショットにもう完全にとろけてしまう。 あるいは、主題歌の同期だけでなく、時折挿入される高校時代の回想で自室ベッドからガバッと起き上がる場面があり、池田監督のカットつなぎによって、たかだかベッドから起き上がるだけなのに、俊敏なアクション俳優のポテンシャルを渡辺から引き出しているように感じる。あぁ、細かい細かい。しょっぴーについて語るとき、細かすぎて伝わらないこともあるかもしれないが、でも初MC番組から演技まですべてが地続きではある。 <文/加賀谷健>


