文化祭・学園祭という特殊なステージが生み出す難しさ
芸人が参加する文化祭・学園祭は主に大学がメインで、一部の私立高校などが芸人を呼ぶことがある。大学の場合は実行委員が芸人をブッキングすることが多く、高校の場合は教師も参加し、各事務所に要請を行うことがほとんどだ。
中にはイベント会社を間に挟むこともあるだろうが、芸人にとって特殊な舞台になることは間違いないのが文化祭・学園祭だ。
「ルミネtheよしもと」などに代表される劇場の舞台の場合、運営はすべてプロでタイムスケジュールもしっかり決まり、芸人も登板する舞台によってネタの選定ができる。だが、文化祭・学園祭においては、お笑いの舞台に慣れているスタッフが勢ぞろいしているわけではない。
学生が主体で舞台を作るので、プロが運営するステージとは違ったチグハグさが出てしまうのは当然のことだ。そういったステージではやりやすい時間配分でないこともあり、芸人は臨機応変に盛り上げなくてはならなくなる。
ちなみに、筆者が仲の良い芸人に聞いたことがあるが、一緒に参加するコンビが遅れたことで、学園祭のステージにて予定より1時間近く持ち時間が伸びたことがあったと聞く。そうなった場合、芸人も戸惑い結果として見ている観客からしたら「手抜き」だと受け取られる場面も出てくるだろう。
また、コントが主軸の芸人たちは、小道具の関係もあり、ステージでネタを満足に披露できないケースもある。そうなると、テレビでネタを見ていた観客は面白くなく手抜きだと感じるだろう。
以上を踏まえると、文化祭・学園祭というのはかなり難しいステージになる。踏まえれば、SNS上で書き込まれている批判は、話半分で見るほうが良いことは間違いないだろう。
芸人にとってもおいしい地方営業、手抜きすれば呼ばれなくなる
また、文化祭・学園祭とは違うが、今回は地方営業についても多くの芸人が賛否の対象になっている。
地方営業はお祭りや会社のイベントなど多岐にわたるが、正直言って芸人にとってギャラ的においしい仕事になる。よほどポリシーがある芸人以外は、地方営業は絶対にやりたい仕事の一つであるのは間違いない。
実際、筆者が関係した地方自治体も絡んだイベントでは、テレビ出演より高額なギャラが芸人に支払われたケースもある。そう考えると、芸人が手を抜くというのは考えづらいというのが本音だ。
ただ、地方営業の場合は、ネタやトークだけでなく色々と制限がかかる場合もある。例えば、その企業のPRのためお客さんと景品をかけたじゃんけん大会をしたり、御当地の特産物をネタに混ぜてくれと無理難題を言うケースも。
芸人は自由にネタをすることができなくなる事情もあり、結果それを見て、本ネタではない等の理由で、手抜きをしたと感じる客も出てしまう現状だ。