現実的な厳しさに加えて「金あるでしょ」という偏見もキツイ
こうして見ると10万円弱は貯金に回せているように見えるものの、
どちらかの実家に帰省するお盆やお正月には新幹線代含めて出費は大きく増えます。りかさん夫婦は毎月のプラス分は夫婦共有口座に貯金しつつ、「自由に使っていい」という名目で決めたお互いのお小遣いはそれぞれできるだけ貯金に回しているそうです。
「世帯年収1100万円というと、
ものすごくお金持ちだと思われて『どうせ金あるんでしょ』という見方をされるのがすごく嫌です。この収入になるために夫婦ともに働いてきましたし、今も仕事はそれなりに大変、さらにたくさん税金で引かれている。やむを得ない出費は多いし、仕事も生活も日々切り詰めながら生きているのに、「楽をしてる」、「ずるい」と思われるのはしんどいですね。
実際にわが家は“世帯年収1000万円”を超えていても、もっとできると思っていた貯金も少ししかできず、これからさらに教育費や生活費がかかるかと思うとかなり厳しいです。お小遣いは夫婦ともに月5万円でしたが、今は4万円になりました。コロナ禍前は家を買おうかと思っていましたが、先行きが不安でこのまま家賃を払い続けることになると思います」(りかさん)
「子持ちで世帯年収1000万円」の辛さは、現実的な生活の厳しさだけでなく、周囲からの理解されないことも大きな背景にある様子。実際の手取り額はもちろん1000万円ではないので、1000万円を自由に使えるわけではまったくありません。
それにもかかわらず
「分不相応な生活をしている」と思われがちなのは、不景気の中で「年収1000万円」という響きが莫大な収入を連想させるからでしょう。さらには「高収入のくせに」という嫉妬や憎悪の感情も拍車をかけているように思えてなりません。
<取材・文/エタノール純子>
エタノール純子
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中