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「実写化だけはやめて」「コスプレ感」の声もあったが…『推しの子』実写化への評価が“絶賛”に転じたワケ

 実写ドラマ版『【推しの子】』が好評を博している。現在はAmazonプライムビデオの視聴ページでは5点満点中3.6点、Filmarksドラマでは5点満点中3.7点と、レビューサービスの平均点だけを見れば「まあまあ」の評価と思われるかもしれない。
ドラマ&映画【推しの子】公式サイトより

ドラマ&映画【推しの子】公式サイトより

 だが、原作漫画とアニメ版が社会現象的な人気を得たため、厳しい目を向けるファンもかなり多い上に、後述するように「【推しの子】の実写化」そのものに「分が悪い」理由があることを踏まえれば、大健闘といえるスコアだろう。  筆者個人は、この後に公開される映画版の出来栄え次第では、漫画の実写映画化史上でもトップレベルの傑作になり得るとさえ思う。その理由を記していこう。

実写版発表時の評価は低かった

 実写ドラマ&映画【推しの子】の2024年1月の主要キャストおよびキャラクタービジュアル発表時の評判は決して芳しくはなかった。  キャストそれぞれに「ピッタリかも」などと期待の声も寄せられてはいたが、原作漫画の表紙を再現したキャラクターに「コスプレ感バリバリ」な印象を抱く人もいた他、「【推しの子】の実写化だけはやめてほしかった」と、そもそもの企画を受け入れられない意見も多かった。  その実写化を受け入れられない理由の1つには、劇中で「人気漫画が異なる媒体で制作される際の『原作改変』の問答」が繰り広げられていることもあるだろう。たとえば「人気漫画の実写化で炎上は免れない。宿命だよ」「別に展開を変えるのは良いんです。でもキャラを変えるのは無礼だと思いませんか? うちの子たちはこんな馬鹿じゃないんですけど」といったセリフがあり、今回の実写ドラマにもその言及がある。  さらに、原作者の赤坂アカは、実写化の発表時に「(原作は)漫画作品の実写化についても触れています。良い事ばかりを言っていません。批判的な事も言っています」「キャストの皆様にも制作陣の皆様にも『本当に大丈夫ですか?』と聞きたくなる気持ちでした」といったコメントも寄せており、まさに同じような不安を抱くファンも多かった。それらがすでに、【推しの子】の実写化そのものの「分が悪い」理由だ。

現実にあり得るキャラクタービジュアルの追求も

 だが、続いて特報や予告編が公開されると好意的な意見も増えていき、さらに本編では特にキャストに称賛の声が相次いだ。  特に「唯一無二で完璧で究極のアイドル」という設定の高すぎるハードルを越えなければならない「星野アイ」役の齋藤飛鳥と、コミカルな表情や時には暴言を放つ様も愛らしい「有馬かな」役の原菜乃華には、原作のイメージにピッタリな演技や存在感に絶賛が寄せられている。  さらに、最初に解禁されたキャラクタービジュアルとは違い、実際の本編ではコスプレ感を覚えるところはほとんどなかった。  WEBサイト「ドラマ&映画【推しの子】Behind The Scene」掲載の井元隆佑プロデューサーへのインタビューでは、「ウィッグの着用ではなく、皆さんに地毛を染めてもらうこと」を早々に方針として出して、「世界観を守りつつ、現実にいてもおかしくないキャラクタービジュアルを目指し何度も髪色や髪型、衣装においても協議を重ねながら取り組んだ」ことなどが語られている。  原作漫画は作画担当の横槍メンゴによるかわいらしい絵柄とキャラクターも含めて人気を得ており、だからこその生身の人間が演じる実写化はやはり分が悪かったといえる。それを覆すかのように、キャストの奮闘はもちろん、メイクや衣装や小道具など、実写というアプローチに合わせたビジュアルにこだわり尽くしたことも、間違いなく高評価の理由だろう。  なお監督のスミスはマキシマム ザ ホルモンやフレデリックのミュージックビデオや、漫画の実写ドラマ化作品では『ぼくは麻理のなか』や『ケンシロウによろしく』での実績もある。そのケレン味のある演出や、映像そのものの美しさに魅了された。
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二宮和也がラスボスを演じる説得力
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