
なぜ、サービスの質が悪いクリニックがあるのか。脱毛業界ならではの経営構造も、その理由にあると六條さんはいいます。
「アリシアクリニックの破産騒動でも取り上げられた前受金で拡大を図るビジネスモデルは、拍車をかけている一因だと考えています。ただ、それだけではありません。
悪質な広告がはびこっている現状もあり、どこかのクリニックが成功すると、他社も追随する傾向もあるんです。一時期は、契約の総額ではなく月額のみを大きく表示して、集客を図るクリニックも目立っていました。
また、施術が不十分であったとしても、お客さん側が不満を口に出しづらい現状もあります。せっかく施術を受けているのに『気分を害したくない』という気持ちの面もありますが、より深刻なのは『プランの残債を人質に取られている』という理由だと思います。
クリニックで働くスタッフの機嫌を損なうと、残りの施術をちゃんとやってくれないかもしれない。本来、よほどの無茶な要望を求めない限りは、お金を支払っているお客さん側にも納得いかない点を主張する権利はあると思います。ただ、定期的に通院する脱毛クリニックでは、たがいの距離感が近いため、言い出しづらい現状もあります」
いわば“泥舟”かのような、質の悪いクリニックをみきわめるポイントは果たして、あるのでしょうか。六條さんは「少し知るだけでリスクは回避できる」と主張します。
「まず、脱毛の基礎知識は必須です。ネットで『脱毛の仕組み』と検索すれば、たくさんの情報が出てきます。例えば、VIOラインであれば、毛がしっかり薄くなるまでの期間はどれだけ早くても1年以上、長くて3年以上かかるといわれているんです。その周期に合わせた施術を行うのが本来のやり方で、知っておくと『全身脱毛5回。最短5ヶ月で完了』など、いわゆる『スピード脱毛』をうたったキャッチコピーは嘘であると見破れます。また、『最新の技術で期待大』などの誇張した表現には注意しておくべきです」