Entertainment

NHK「のど自慢」で大物歌手も驚いた13歳→22歳に成長した現在の“色っぽさ”とポテンシャルが圧倒的

 芸人の世界だけではなく、演歌界にも「第7世代」がある。そこに区分される若手演歌歌手たちが、もうほんとうに才能あふれる逸材ばかり。
原田波人「火の鳥/風(タイプB)」(日本クラウン)

原田波人「火の鳥/風(タイプB)」(日本クラウン)

 特に色っぽく丁寧なフレージングが魅力の原田波人が、2025年3月26日、最新シングル「火の鳥」をリリースした。NHKのど自慢出場によって、2022年にデビューをつかんだ演歌Z世代の歌唱世界がより豊かに、あざやかに感じられる旬のナンバーだ。  男性俳優の演技を独自視点で分析するコラムニスト・加賀谷健が、デビュー前からポテンシャルが圧倒的だった原田波人を解説する。

オールジャンル共通する色気の持ち主

 これは俳優について語る文脈とは少しニュアンスが違うのだが、歌手という存在もまた佇まい勝負なところがある。佇まい勝負というのは、その人が大衆の目に触れるとき、その魅力がパッと現前するかどうか、ほとんどファーストインプレッションにかかっているからである。とはいえ、佇まいという言葉は、漠然と存在感くらいに理解されるかもしれない。  でもここでいう佇まいには、存在感のもっと根っこ、存在そのものを裏打ちする色気みたいな意味合いがある。クラシック音楽を専門とする音楽プロダクションに所属する筆者が、これまで仕事をしてきたどの有名アーティストたちも、この根源的色気の持ち主であることは、オールジャンルで共通している。  2022年1月にリリースされたシングル「永遠の一秒」でデビューした原田波人もまたそうした魅力と才能が約束されたアーティストのひとり。「純度120%の歌声」というコピーで売り出されつつ、実際の歌声にはあらゆる色気成分が含まれている。

躍進する「第7世代」

「偽りのくちびる」(日本クラウン)

「偽りのくちびる」(日本クラウン)

 原田がデビューした2022年当時から演歌界では、紅白歌合戦でお馴染みの新浜レオンや水森英夫門下の青山新、吉幾三の秘蔵っ子で、かすれ声に伝統的矜持を感じさせる真田ナオキなど、「第7世代」としてくくられる新人歌手たちが続々躍進している。  1950年代の歌謡界をリードしたスーパースター三橋美智也を第1世代として数えたこの第7世代からさらに世代を下る原田は、最若手のニュースターに位置づける。三橋のヒット曲「星屑の町」は、名ドラマー高橋幸宏がレゲエ調の2拍子でカバーするくらい、原曲はご機嫌な調子だが、演歌Z世代の原田の楽曲も同様に軽快な魅力を備えている。  例えば、筆者お気に入り愛聴ナンバー「偽りのくちびる」。デビュー曲と同年にリリースされたこの曲は、「僕のことだけを」から始まる丁寧なフレージングがリスナーをすぐさま歌唱世界に引き込み、続くドラムス、ギターの囃し立て、ピアノのグリッサンドがひたすら痛快。  原田が再度「どんな噂も 気にしないよ」と歌い出す瞬間の、歌謡的であり、ジャズ的でもあるきらめきがときめく。
次のページ 
SNS世代としてのアピール
1
2
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ