心に残る台詞も多く散りばめられています。ときに沁みたり、ときに勇気づけられたり、ときにグサッときたり。筆者は第1期の1話冒頭、千明の長いモノローグから鷲掴みにされました。
「いつか穏やかで、心に余裕があるような素敵な大人になりたいと思っていた。でも、歳はとっくに大人になっているはずなのに、思っていたのとは全然違う。大人になれば淋しく思ったりすることなんて、なくなると思っていたのに、全くそんなことはなかった。でもそれは私だけではなく、みんな同じなんだと思う。不安だし、淋しいけれど、それを口にはせず明るく笑い飛ばそうとしていた」。
筆者が29歳だった13年前は「なるほど、そうか!」と感銘を受けましたが、40歳を過ぎて観返すとしみじみ聞き入ってしまう。そんな風に、観返すたびに台詞の受け取り方や響くシーンが変わるのも、本シリーズにファンが多い理由ではないでしょうか。何年経っても色褪せることなく、新鮮な気持ちでときに笑い、ときに涙してしまう作品なのです。
前述の千明のモノローグにもあったように、何歳になっても人生はままならない。そのままならなさを、大人ならではの可笑しみを、切なさを絶妙な塩梅で描いています。
千明と和平がお互いのことはもちろん、周囲の人たちの想いや価値観を、会話を重ねながら、受け止めて許容していく姿も理想的。ほかの登場人物たちがふたりを慕う気持ちにも、共感しかありません。恥ずかしくなるような失敗をすることも、悩むことも、不安なこともいっぱいあるけれど、千明と和平はそれでも日々を“ファンキー”に生きていくのです。
そんなふたりを観ていると、年齢を重ねることは決して悪くないと思えてきます。観るときどきの自分と照らし合わせながら、何度も何度も勇気をもらえるのです。
※以下、第2期『続・最後から二番目の恋』の結末についてのネタバレを含みます。