しかし、同棲が始まると、ミドリさんとお義母さんの、親しすぎる関係が徐々に判明してきます。
「彼女は1日のすべてのことをお母さんにLINEしていました。先日、お義母さんと僕もLINEを交換したので、彼女が少しでも僕に関することを言うと、すぐにお義母さんから僕にLINEがきました」
例えば、貴史さんの仕事が忙しく、ミドリさんからのLINEへの返信が遅れた時には、お義母さんから「まだ仕事ですか?」というようなLINEがきているのだそう。

「ある時は、新居のカーテンを彼女とふたりで買いに行ったんです。そしたら次の日お義母さんからLINEがきて、『あのカーテンは風水的に良くないから、返品してください』って」
それはミドリさんが選んだカーテンだったのですが、ミドリさんはあっさりとお義母さんの言うことを聞き、カーテンは返品することに。
「その数日後に、お義母さんがまた上京して来られて、ミドリさんとふたりでカーテンを買いに行っていました」
ふたりの近すぎる関係にどんどん気持ちが萎えていく貴史さん。なんでもお義母さんの言うことを聞くミドリさんに疲れ、同棲して2ヶ月ほど経つ頃には、喧嘩ばかりの険悪な関係に…。
「喧嘩するとお義母さんにLINEで告げ口されるので、板挟みですよ。毎日お義母さんに監視されているようで、本当に気分が悪かったです」
家に帰るのが憂鬱でしかなくなった貴史さんは、こんなことでは結婚は到底無理だと悟り、婚約破棄を決意します。実は、同棲を始めてからすぐに正式にプロポーズをし、結婚式場も予約していた貴史さん。
「式場のキャンセル料も少なくなかったし、別れたいと言ったら案の定、大騒動になるし、しっちゃかめっちゃかでした…」
なんとか同棲を解消した後も「訴えます」とお義母さんや彼女からLINEの日々。数ヶ月間は大変でしたが、結局訴えられはせず、今はやっと落ち着いたとのこと。
結婚に焦ってうかつな行動をとってしまったと反省した貴史さん。「次は絶対に慎重になる」と心に決めたのだそう。恋に盲目になっても、義実家のことはちゃんと知ってから婚約した方が良さそうですね!
<取材・文/まなたろう イラスト/ただりえこ>
まなたろう
多岐にわたって興味があるアラフォーライター。コーヒーが好きでコーヒーソムリエ資格取得。海外に12年ほど住んでいたため、英語はそこそこ堪能。