これからの季節に流行するウイルス感染症とは。アルコールに強いウイルスの存在も…正しい対策をプロに聞いた
行楽日和が続き、イベントや買い物など人混みの中に出かけることが増えてきたのではないでしょうか。そんなとき、花粉やウイルスが気になるという人も多いようです。そして暖かくなってくると敏感にならざるを得ない、嫌なニオイ。
そこで今回は、世界初の手押し式殺虫液を作った会社でもあり、40年近く菌・ウイルスの対策剤について研究開発を行っているフマキラー株式会社で菌やウイルスの研究に携わり、大学時代から培った科学の知識も活かして商品開発をおこなう進藤智弘さんに話を聞きました。
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――暖かくなって人混みに出る機会が増えたという人も多いようです。これからの季節に気をつけたいウイルスについて教えてください。
進藤さん:冬だとインフルエンザや新型コロナウイルス感染症、ノロウイルスなどがとくに心配でしたね。引き続き、季節外れのインフルエンザの流行や新型コロナには気をつけておきたいものです。そのほか暖かくなってくると、アデノウイルスによる“咽頭結膜炎(プール熱)”や“ロタウイルス”などによる「感染性胃腸炎」の流行があります。
――ウイルス対策というと、アルコールスプレーが頭に浮かぶ人も多いかもしれません。
進藤さん:残念ながら、アデノウイルスやロタウイルスは“ノンエンベロープウイルス(ウイルスの分類の一つで、タンパク質の殻に囲まれているため外からの影響を受けにくい)”という種類のウイルスで、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスとは違ってアルコールに強いウイルスです。
アデノウイルスは接触感染・飛沫感染で感染し、ロタウイルスは感染者の便などに含まれるウイルスを摂取することで感染します。お子さまにはとくに注意が必要ですし、大人も感染して症状が重くなる場合があるので気をつけてください。
また、「アルコール除菌」のような雑貨品の商品は細菌やウイルスによる疾病予防を目的とした製品とは異なるため、薬機法上、固有の細菌・ウイルス名を標榜することはできないという点もございます。
――では、アルコールスプレーは意味がない?
進藤さん:いえ、アルコールに強いウイルスだったとしても、医薬品や医薬部外品で“効果がある”と記されているアルコール消毒スプレーであれば大丈夫です。たとえば当社だと、リン酸でpHを弱酸性にして有効成分(エタノール)の効果を高めるアルコール消毒スプレーや手指の消毒用商品があります。購入前にインターネットで調べたり、商品のラベルをよく確認したりしてから購入してみてください。
――アルコール消毒以外のウイルス対策についても具体的に教えてほしいです。
進藤さん:こまめに手洗いをし、効果が確認されている手洗い用消毒薬による消毒などが対策として考えられます。ただ、飛沫感染となると、なかなか対策が難しいのが正直なところ。ウイルスが目や口など体に入る前に除去するのが大事なので、マスクの着用など、コロナ禍と同じように基本的な感染症対策をおこなってリスクを下げることがおすすめです。
――手洗い・うがい・正しいマスクの着用。そして、除菌や消毒ですね。
進藤さん:除菌や消毒は万能ではありませんが、より快適な生活を送るために基本的な感染症対策とプラスしていただければと思います。お子さまの場合、保育園や幼稚園などの集団でウイルスや菌に汚染されているものにも触ってしまう。そして、その手を舐めたり目をこすったりすることで体内に菌やウイルスが取り込まれて感染症にかかってしまいます。やはり、こまめな手洗いと手指消毒で対策をおこなうのがよいでしょう。
――では、習慣として身につけさせておくことが大切ですね。
進藤さん:はい。また、私たち大人も会社や日常生活をおこなううえでヒトと接触することは避けられません。そのため菌やウイルスとの接触も避けられない。ワクチンで対策できる疾病についてはワクチンを打つということも効果的です。
これからの季節に気をつけたいウイルス

画像はイメージです(以下同)
ウイルスに対する具体的な対策方法
