私達大人は、子供は母親のお腹の中で育ち、やがて生まれてくる、というのを知っています。が、それも案外漠然(ばくぜん)としたものですよね。
本書は、2007年から性教育カリキュラム「からだ・こころ・いのちの授業」を実践する、東京の小学校を取材し、その内容を学年ごとのテーマに沿ってマンガで構成。
2年生のたんじょうの授業では、子宮、胎盤、へその緒の関係性から、羊水についても詳しく解説しています。
「へその緒の長さが50~60センチ(長い人だと100センチ)、太さが15ミリ(個人差があって約10ミリ~25ミリくらい)」など、意外な事実にハッとします。しかも胎児とともにすべて母親の子宮に収まっているのです。
出産を経験した母親でも、その事実を知らないことが多いですよね。
「羊水を飲んでからだの中できれいにして、尿として出している」という循環も、さらに「羊水のいらないものはへその緒からお母さんに送る」という仕組みも、実によくできていて驚きます。
ほかの動物と同じように、人間科学として知るおもしろさもあります。
子供だけではなく、大人にも説いてほしいと思わずにはいられません。本書は小学生向けに書かれた一冊ですが、親子で読むことで「私はこんなに頑張って生まれてきたんだね」という発見を、共有することができます。
友達同士、仲の良い男女間。スキンシップは大切だけど、生理的に受けつけない時もあります。相手が嫌いというのではないのです。今はさわられたくない、そっとしておいて、というメンタルが誰にでもあるのです。
この微妙な心の揺れを子供の頃に学んでいたら、大人になって起こりうる悲劇が、少しでも減らせたのではないでしょうか。
つるかめ小学校の校長先生が考案したのが「ふれあいゲーム」です。「握手」「肩をくむ」「ヒザにのる」「ハグ」など、振ったサイコロの目で指定し、二人一組になって実行するのです。
ゲームのルールは、「①ふれあいをしていいか相手に聞く②返事をする③断られたらやらない。泣いたり怒ったり不機嫌にならないこと」。もちろん、お互いを気遣うのを忘れずに。
単純で簡単なゲームですが、実に奥が深いです。子供は無意識に我慢を強(し)いられている場合もあり、それが普通になってしまう危険性もありますが、ゲームを通して断ることや相手のNOを受け入れることの練習ができます。
現代では、子供だけではなく大人にも、こういったゲームが必要ではないでしょうか。