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NHK朝ドラで“老けメイク”の27歳俳優。いきなり50代前半を演じても「これこれ」と思わせる魅力とは

後ろ姿が印象的な過去作

NHK『あんぱん』©︎NHK これこれ。これこそ北村匠海の表情であり、表現力だと気づかせてくれる本作だが、後ろ姿にもやはり重要な意味合いがあるなと思う。後ろ姿が印象的な過去作がある。もう10年以上前の映画作品。2013年に公開された『陽だまりの彼女』である。  松本潤演じる主人公・奥田浩介の中学生時代を北村が演じた。浩介と中学生時代の同級生・渡来真緒(上野樹里)がキスする横顔のツーショットのあと、北村が出演する回想場面に入る。  物語の運びをむしろスムーズにするこの回想場面の北村は、後ろ姿で初登場する。浩介(北村匠海)と真緒(葵わかな)が、ブランコに乗っている。画面下手でブランコをこぐ北村を見て、『あんぱん』冒頭場面の構図がオーバーラップする。

実年齢を越えた魅力

NHK『あんぱん』©︎NHK 小栗旬が演じた主人公の少年時代を演じた『TAJOMARU』(2009年)も実にあざやかだった。『DIVE!!』(2008年)など、さらに幼少期の姿を画面上に記憶した子役時代の作品もある。『陽だまりの彼女』は、初期の代表作として位置付けられ、現在まで順当に主演作を重ねてきた北村は、年齢に応じた存在感を磨いている。  それが『あんぱん』冒頭場面では、年齢をひとっ飛び。いきなり50代前半の年齢設定を演じた。主人公の幼少期から老年期まで描かれる朝ドラでは、同じ俳優が老けメイクを施して演じる。  いわば、老けメイクは朝ドラのマナーである。北村は、そのマナーにふさわしくあろうとする。現在27歳。年齢と比例してきた北村の演技が、実年齢を超えた魅力を強く打ち出す。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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