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大河『べらぼう』平賀源内ついに退場へ…死に至るまでの史実とは?刃傷沙汰や投獄、事故物件への引っ越しも

和解の宴の翌朝。カン違いで口論となりカッとなって…

(C)大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」NHK総合

(C)大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」NHK総合

 1つは、高松藩の家老・木村黙老の『聞まゝの記(きくままのき)』に記録されている説。当時、源内はある大名の庭の普請(ふしん・土木や建築の工事のこと)について見積もり依頼を受けていました。  すでにその普請はある町人が請け負うことが決まっていたのですが、莫大(ばくだい)な費用がかかるため、役人が源内に相談していたのです。仕様書を見た源内は「自分なら費用を大幅に削減できる」と豪語したことから、その普請は源内が請ける流れに。  それが原因で、役人と町人の間でいさかいが起こってしまいました。結局、源内と町人が共同で請け負うことで決着。その和解の印として、源内の家で宴を設けることになりました。  宴では、源内が仕様書を見せ、予算を削減できる画期的な構想を説明。役人も町人も大いに感心したのだとか。その盛り上がりは終わることがなく、役人たちは途中で帰宅し、源内と町人だけで飲み明かすことに。そして、二人は泥酔していつの間にか眠ってしまいました。 しかし、明け方源内が目を覚ますと、見せていた仕様書などの書類がないことに気づきます。慌てて町人を起こし、書類を盗んだのでは、と問い詰めると、相手は身に覚えがないと反論。口論になり、源内は逆上し町人に斬りかかってしまったのでした。  ちなみにその後、罪を逃れられないと悟り自決しようとした源内が身の回りの整理をしている時に、例の書類を発見。自分の勘違いであることがわかり、切腹しようとしたところを弟子に止められ、投獄されるに至ります。

仲の良い2人の知人と口論になり…?

 もう一つの説は、著述家の斎藤月岑(げっしん)による『平賀実記』に記されたもの。上記の話とは全く異なり、被害者は源内の弟子の神田久五郎と、勘定奉行の中間(雑用係的な役割)丈右衛門の2人で、どちらも源内とは深い付き合いのある友人でした。  殺害の動機は分かっていませんが、2人が源内の家に泊まった翌朝、口論となり殺傷。丈右衛門は指の負傷だけでしたが、久五郎は頭に傷を受け、亡くなったといいます。  さて、ドラマではどちらかの説が描かれるのか、はたまた全く新しい解釈が採用されるのでしょうか。第16回の予告からは、源内が何か書類を探しているようだったり、険しい顔をして血のついた刀を持っていたりといったシーンが見られ、もはやどちらの説でもアリなような……?  しかし、タイトルにある「蓬莱(ほうらい)」とは、不老不死の仙人の住まう永遠の繁栄の象徴や理想郷のこと。きっと史実と同じように悲しい結末になることは避けられませんが、源内イズムは蔦屋重三郎や残された人々に受け継がれていく、という希望を感じさせてくれるのでは……と期待せずにはいられません。  愛すべきキャラクターとして初回から大いに存在感を見せてきた、平賀源内。週末の夜は、彼の最期をじっくり見届けましょう! ◯参考文献 :土井康弘『本草学者 平賀源内』講談社 2008年 :新戸雅章『平賀源内 「非常の人」の生涯』平凡社 2020年 (C)大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」NHK総合 毎週日曜夜8時 <文/関由佳>
関由佳
筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。Twitterブログ
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