しかし、ここまでお膳立てが整いすぎていると、逆に視聴者を「歌麿は唐丸なんだな」と思わせるミスリードのような気も…。
実は、蔦重と関わる絵師で過去に不明点が多い人物には「東洲斎写楽」「葛飾北斎」などの存在も。特に、写楽は生涯ほとんどの情報が不明なだけに、唐丸と結びつける展開は十分に考えられます。正直、唐丸の絵の才能が見られたシーンで、筆者は「この子って後の写楽?」とピンときたのを覚えています。
さらに年齢という点で考えると、失踪当時の唐丸の歳は不明ですが、子役(渡邉斗翔)を使っていることから、蔦重と10歳くらいは離れているような印象。そうなると、蔦重役の横浜流星さんの4歳差である染谷将太さんだと、ちょっぴり年が近すぎる?という気もします(さらに染谷さんの方が年上です)。
とはいえ、過去の大河ドラマ『おんな城主 直虎』で、40代の阿部サダヲさんが13歳の徳川家康の役を演じたことも。演者と役の年齢はあまり参考にはならないのでしょうか…。
考えれば考えるほど、どの人物の可能性もありそうで、あらためて『べらぼう』の創りの深さを実感…。源内退場の展開から考えても、おそらく視聴者の予想をいい意味で裏切る、斜め上のストーリーを見せてくるのでは、とワクワクが止まりません!
ちなみに、次回の中心人物となる歌麿は蔦重よりも長く生きますが、晩年は描いた錦絵が幕府にとがめられ、罪人として実刑を受けます。そして刑期を終えた2年後、54歳でその生涯を閉じます。蔦重とともに一時は栄華を極めますが、その晩年は少々苦しく切ないものだったようです…。
とはいえ、歌麿は蔦重の人生を語る上で絶対にはずせない人物なのは間違いありません。まずは第18回「歌麿よ、見徳は一炊夢」で、新たな重要人物の登場と唐丸の謎について、堪能したいと思います。
<文/関由佳>
関由佳
筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。
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