“入社”が“ジョイン”?カタカナ語に鳥肌…テレ朝アナが40歳で転職して直面したギャップとは
貢献できている実感がなかなか得られなかった
求められるものも大きく違いました。
意外と戸惑いを感じたのは「何かを決める」ということ。テレビ局では、番組の方針や、放送内容、そこで展開される台本に至るまで、多くの人の目を通して決定されます。「番組のアンカー」とも表現されることもあるアナウンサーは、その過程を経て、「決められたもの」を渡されることがほとんどでした。
もちろん、オンエア中の判断など、細かな意思決定はあるのですが、組織としての方向性などを決めた経験がほとんどありませんでした。だからこそ、自分が意思決定の場に立ったとき、その重さや難しさに戸惑いました。
アナウンサー時代は、感覚値や好感度が重視される世界だったのに対して、スタートアップでは、データの裏付けなどが重用されます。根拠を持って「決めること」。そして、それを周囲に理解してもらうプロセスは、大きな学びだったと思います。
さらに、新たに学んでいく必要があったのがマネジメントスキルです。
アナウンサー時代は、技術的なことを後輩に教える場面はあっても、メンバーのマネジメントをしたことがありませんでした。これは、40代ビジネスパーソンとしてはむしろ珍しいスキルの欠如でした。今も試行錯誤の繰り返しではありますが……「コミュニケーション」を心がけながら、私なりの正解を模索しているところです。
しかし、何よりも一番つらかったのが、自分が貢献できているという実感がなかなか得られなかったことでした。
「誰かの役に立ちたい」という思いが、働く原動力になっている私にとっては、この感覚を持てるまでに、思った以上に時間がかかりました。年齢を重ねているからこそ「自分が役に立てていない」という現実を痛感するのは、すごくつらかったのです。
ようやくたどり着いた「キャリアは掛け算」であるという感覚
この連載の前回記事


