──3人から、令和になっても古くならない魅力を感じます。

岡部久義氏による原画『ともだちってなんだろな』 ©jpp/NEP
努:それは『にこにこ、ぷん』が、人間の普遍性を描いているからではないでしょうか。『にこにこ、ぷん』の原作者で台本を書いていた井出隆夫さんは、歌謡曲の大ヒットメーカーで、人間の本質を突くような歌を書くことが得意な人でした。教養もあり、国や人種を越えた普遍性を見出していたのだと想像しています。
私から見た井出さんは、「人間は幸せになるために生きている」という哲学を持ち、「幸せになるためにはどうしたらいいか」を考えている人でした。人々の根底にある「幸せになりたい」という気持ちは、いつの時代になっても変わらないでしょう。それを描いているから、『にこにこ、ぷん』は古くならないのだと思います。
努:また、3人にはそれぞれ嫌いなものや欠点があります。でも、それが3人の魅力なんです。例えば、ぽろりはピーマンが嫌いで、見るだけで目を回してしまいます。でも、食べることが好きなじゃじゃ丸は、時にはピーマンを食べられないぽろりをからかうこともありますが、おいしいピーマンをなんとか食べさせてあげたいと思って試行錯誤することもあります。
人は誰しも一人では生きていけないから、互いの欠点を補い合う。困っているときに手を取り合う精神もまた、普遍的なことだと思います。
こういった思いが込められた『にこにこ、ぷん』と3人の存在は、私たちにとってかけがえのない財産です。ですから、私たちはこの財産を残すために活動しています。