草刈民代が「2か月で身長が2cm伸びた」32歳俳優明かす。バレエ指導で見えた“才能”とは
バレエ初挑戦の俳優が、バレエを踊ることで演技が活気づく。バレエ経験がある俳優は、バレエを軸にして役柄を強固にする……。MBSドラマフィル枠にて放送された『バレエ男子!』は、踊りに取り組む俳優たちの挑戦と成長が役柄とリンクするリアルなバレエ・ドラマだ。
監修・指導の立場から本作を支えたのが、元バレリーナで女優の草刈民代さん。『Shall we ダンス?』(1996年)で映画初出演(主演)、世界を舞台にダンサーとして活躍してきた、ふたつの立場をもつ草刈さんだからこそコーチングできたものがある。
本作主演の戸塚純貴はじめ、ダンサー役俳優たちへの指導でどのようにドラマを作りあげたのか? 男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が聞く、草刈民代さん特別インタビューを前後編でお届けする。
――クスッとコミカルだけれど底抜けに魅力的、なおかつほろりとさせてくれる3人のバレエ男子たちを描く本作は、令和のバレエ・コミック(バレエ喜劇)と形容したくなります。
草刈民代(以下、草刈):ベタでコミカルな作風で描いているからこそ、それを担保する踊りのシーンをしっかりと見せることで面白いドラマになると直感的に思いました。バレエ監修という立場から、踊りのシーンが成立するようご提案をさせていただき、短期間集中型の指導でもバレエシーンがきちんと映像化できるように台本を整理していただきました。
――バレエ監修・指導の立場から見て、それぞれ俳優さんたちの印象は?
草刈:本当に何もわからない状態から習い始めるとはいえ、物事を習い慣れている方たちです。物事をまっすぐ受け止め、身につけるのがとても早かった。俳優さんそれぞれ習得方法も違いました。まず先輩ダンサー・守山正信役の大東駿介さんは、頭で考えて整理しながら落とし込むタイプ。私自身と近いものを感じました。大東さんは役柄について話し合った打ち合わせを踏まえ、細かいところも逃さず全てを役に反映していて、緻密に役柄を設計されている印象を受けました。
主人公である小林八誠役の戸塚さんは、見てすぐに真似るのが上手く、バレエ初挑戦どころか踊ったこともないと話していたにもかかわらず、迷っていてもまずはそのままやってみる人。そして、レッスンを重ねながらそれを確実に自分のものにしていきました。普通は迷っていたら、なかなか体が動かないものなのです。
私も自分がどう練習したらいいのか方向性を定めるのに時間がかかるタイプでしたが、一方で躊躇せず怖がらずにできるダンサーもいて、戸塚さんはまさにそのタイプ。おそらく意識的にそのように自分を追い込むタイプなのかもしれません。さらに戸塚さんは、踊りのパートナーとコンタクトが自然と取れていて、ステップに追われてしまうのではなく、本来表現すべきものをきちんと捉えていたのが印象的でした。素晴らしい感性を持った役者さんだと思います。
――草刈さんのInstagramには、レッスン中の戸塚さんにフレーム外から草刈さんが指導する動画があり、キャプションには「3週間目にはここまでの動きができるように!」と書かれていますが、戸塚さんの吸収が早かったわけですね。
草刈:合計30時間以上レッスンしました。戸塚さんは2か月で2cmも身長がのびたそうです(笑)。それだけ身体が変わっているということは、どれだけ多くのことをキャッチして吸収したかということです。練習を積んだすべてが役柄の端々に表れていますよね。
あくまでドラマ作品ですから、どれだけ踊れるかよりも、どのように演じられるかの方が重要だと思いますが、3回目のレッスンで、戸塚さんの顔つきが変わったのは印象的でした。より精悍で綺麗、なおかつダンサーとしてのリアル感が出てきた。姿勢もよくなり、これは大丈夫だと思いました。

「踊りのシーンをしっかりと見せることで面白くなる」

バレエ初挑戦の戸塚純貴は「2か月で2cmも身長がのびた」
