“恋愛よりも重いもの”示した『最後から二番目の恋』13年間を振り返る。2012年に出会った男女が、アラ還で交わした約束は
この年になって誰かと別れるのはもう嫌だ
パーティのあと、長倉家のテラスで、和平と千明がふたりでしみじみと語り合っている。 「私たちは結局、このままなんでしょうかねえ」 和平がつぶやくと、千明は昔のプロポーズの件を持ち出す。ふたりともそれを覚えていたとわかり、ほっとするが、千明は「怖い」と心のうちを白状する。 「この年になって誰かと別れるのはもう嫌だ」と。それは和平も同じだった。一緒に暮らしてぴったりくっついて生きるより、隣人でいたほうがふたりにとってベストな距離感なのではないかと千明は提案する。賛同しながらも、和平は「朝起きたら、すっぴんのあなたが隣にいる暮らしをしてみたい」と言う。女性にとってはうれしい話だが、仕事最優先で生きてきた千明にとっては、それも怖いのかもしれない。 「約束しません? いつか怖さが薄れたら、そのときは一緒に暮らしましょう」 和平の出した小指を、千明は小指ではなく手でしっかりと握る。そこに和平を信頼する千明の気持ちが透けて見える。
尊重しあっていたら、恋愛より重いものを手に入れてしまった
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