――草刈さんがバレエ監修・指導を担当した『バレエ男子!』第5話と第6話放送日の間にネットニュースで話題になっていたInstagram投稿(6月3日)について聞きます。『Shall we ダンス?』の全米リバイバル上映イベントでニューヨークを訪問した草刈さんが「地下鉄の中。すっぴんのまま、気ままにお散歩」とキャプションを付けているのに対してネット上では「お肌ツルツル」などさまざまなコメントが散見されました……。草刈民代(以下、草刈):あれはものすごいインプレッション数をいただきました(笑)。
――美容の秘訣や心がけていることを知りたい読者がたくさんいると思います(笑)。草刈:美容の秘訣ですか(笑)。バレリーナ時代の私は舞台や稽古、トレーニング、体のメンテナンスに時間を取られて、肌ケアにはまったく気を遣っていられませんでした。完全に体育会系で、「舞台に立てば顔は体の一部」という感覚だったのです。踊っていた頃は、体の疲れやストレスもあって、吹き出物が出ることも多くて。でも、俳優って画面に顔が大きく映るじゃないですか。そうなると、肌トラブルって目立つんですよね。
実は私、女優として本格的に活動し始めたのは『Shall we ダンス?』というよりも、2009年にバレリーナを引退してからなんですけど、俳優の仕事を重ねるうちに、「女優にとっての肌は、バレリーナにとっての筋肉のようにケアしていくべきものなんだ」と思うようになりました。
吹き出物って、ケガのように直接、動きに支障が出るわけではないけれど、見る側にとっては、そこに目がいってしまうことで芝居への集中を妨げてしまうこともある。そういうことが、俳優の仕事を通じて、だんだんわかってきたんです。踊っていた頃の私は、疲れると本当に吹き出物がひどくて……あんな肌で画面に出ている女優さんなんて、たぶんいないと思います(笑)。それくらい、ひどかったんですよ。
身体の技術によって表現されるバレエでは、体のラインや動きの美しさが土台になりますが、女優に求められる美しさはまったく別物だと思うようになりました。それに、年齢を重ねてくると、表面的なことだけを追いかけるのでは、もう満足できなくなってくるんですよね。色々な側面から「自分にとって大事なことってなんだろう?」と、さらに深く考えるようになりました。それで、美しさの意味合いも、少しずつ変わってきた気がします。
私くらいの年齢になると、若い頃のように「綺麗になりたい」と思う人は、まずいないでしょう。でも、「綺麗でいよう」と思えるか、思えないかで、日々の感じ方や、生き方そのものが大きく変わってくるんじゃないかとは思います。
年齢に対するイメージの刷り込み
――なるほど、やはり気持ちが一番大切なわけですね。草刈:そう。気持ちが一番大切。私は、自分にとっての「綺麗さ」「美しさ」ってなんなんだろう、と再定義したくなりました。60代になると公共検診がタダになったり、割引になったりするようになるし、映画だってシニア料金になるわけです。世間ではもうおばあさんなんだよと線を引かれるところがある。でもまだおばあさんじゃない(笑)。これ私が感じるだけなのかもしれないけれど、やはり60代から老人というイメージの刷り込みは強烈なんじゃないかと思うんです。
でも、世の中のシステムは変わってないけど、時代はまったく変わってきている。おそらく、今の中高年層の人たちは昔の人たちと比べると感覚が10年くらい若いのではないかと思うし、スマホが使えなければ世の中で機能できなくなるようになってきているわけだから、この歳になって学ばなければならないこともたくさんある。
私は自分自身が60歳になった今の感覚と、今まで刷り込まれてきたイメージがあまりにもかけ離れていることに気づき、まだ戸惑っています。もうシニア料金なのにこのままでいいんだろうかみたいな(笑)。でも実は、みんなこんなものなのかもしれない。これが60代のリアル。若い時からこういう話を聞いておけば、60代になった時に役立ちますよ(笑)。
――地下鉄写真は『Shall we ダンス?』がきっかけで結婚した周防正行監督とのツーショットでもありますが、監督もとてもお肌ツルツルです(笑)。 草刈:夫は数年前から急に化粧品を使うようになりました(笑)。彼は筋金入りのヤクルトスワローズファン。なので、会社を応援するためにもヤクルト化粧品を使ってます。「小綺麗なジジイになる」と言って毎日肌のお手入れしてます(笑)。