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『あんぱん』主人公の人気が低い“本当の理由”。視聴者の反感を買った“3ヶ月間”の意味は

 今田美桜が主演を務める連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合・毎週月~土あさ8時~ほか)。作品自体は好評ではあるが、今田演じる主人公・朝田のぶの人気がイマイチ上がらない。女性キャラで言えば、のぶの妹である蘭子(河合優実)やメイコ(原菜乃華)のほうがSNSで好意的なコメントが寄せられている。なぜのぶの支持率が上がらないのか考えたい。

批判の目にもさらされていた少女時代

『NHK2025年前期 連続テレビ小説 あんぱん おたのしみブック』

『NHK2025年前期 連続テレビ小説 あんぱん おたのしみブック(TVガイドMOOK)』(東京ニュース通信社)

 のぶの支持率の低さについて語るうえで、まずは幼少期から振り返る必要がある。その男勝りな性格から“ハチキンおのぶ”というニックネームをつけられていたのぶ。朝田家ではわんぱくさを強く咎められるシーンはなかったが、学校などではあまりいい顔をされていなかったことがうかがえる。  また、パン食い競争に嵩(北村匠海)の代走として飛び入り参加して見事に1位を獲得したものの、女性に参加資格がなかったことを理由に1等賞の賞品であるラジオをもらえなかった。なにより、1位に輝いたものの、周囲からは冷めた目で見られるなど、自慢の脚力を披露して褒められることはなく、むしろ批判の目にさらされる場面も。  家族や友達には恵まれていたが、世間からは必ずしも歓迎されている存在ではなかった。そんなのぶだったが、戦地で戦う兵隊のために慰問袋を作ることを思い付き、女子師範学校の学友たちに提案する。この活動が写真付きで新聞に載ったことを受け、のぶは“愛国の鑑(かがみ)”として世間から見直されるようになった

世間に認められ、お国のために真っ直ぐに

 パン食い競争で1位になるほどの走力、快活な性格など、自身の長所をことごとく世間から否定されてきたのぶだからこそ、この手のひら返しには高揚したのではないか。ようやく“世間様”に認めてもらったことの安心感や興奮を抱き、そして「この期待に応えたい」、もとい「もう昔には戻りたくない」という意識が芽生えたように思う。
『連続テレビ小説 あんぱん 賜物(NHK出版オリジナル楽譜シリーズ)』

『連続テレビ小説 あんぱん 賜物(NHK出版オリジナル楽譜シリーズ)』(NHK出版)

 その結果、愛国の鑑として軍国主義にどっぷりと浸り、豪(細田佳央太)を亡くして悲しみに暮れる妹・蘭子には「立派やと言うちゃりなさい。豪ちゃんの戦死を誰よりも蘭子が誇りに思うちゃらんと」、そして東京の学校に進学して浮かれる嵩には「お国のために働きゆう兵隊さんのこと、ちっとでも考えたことあるがか?」と、“正論”を口にしてしまったのだろう。こういった言動が視聴者のひんしゅくを買い、“推せないヒロイン”というイメージを強めてしまった印象だ。
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多くの視聴者が持っている「のぶと同じ要素」
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