――たしかに、女性用風俗や不倫までいくと、ドラマや漫画の世界と感じる人は多そう。メディアで取り上げられる機会は増えていても、ごく一部なのかもしれませんね。
なかお:そうですよね。読者層の感覚だと、マッチングアプリで相手を探すのでは、と考えて作中でも、アプリを使いました。周りの友人にも聞き込みをしたところ、その子の独身の友人もマッチングアプリでワンナイトのお相手を探していると教えてくれたんです。
その話を聞いて、
性の悩みを抱えている人が身近にいる、と知ることができたのも発見でしたね。ただ、そうしたリアルな感情や悩みを活かしつつも、エンターテイメントとして楽しめるように恋愛漫画として描いています。

(C) なかおもとこ/シーモアコミックス
――物語の核として、主人公が定めた5つの「ワンナイト・ルール」が登場します。このルールはどの段階で作られたのでしょうか?
なかお:ストーリーとルールはほぼ同時に作りました。連載を始める前から、このテーマはどんな描き方をしても賛否両論の“否”が大半になると覚悟していて、可能な限り叩かれる要素を減らしたかったんです。それを突き詰めた結果、ワンナイト・ルールが生まれました。

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――おっしゃるとおり、30代女性の性衝動は扱うのが難しそうですね……。
なかお:はい。ルールが存在しない“ワンナイト”の世界を描きつつ、エンターテインメントとして楽しんでもらいたい。そこで、自らワンナイトにルールを設ける真面目なキャラクターを主人公にしたところ、彼女のパーソナリティがより伝わりやすくなりました。
――そうですね。本作を読むと性欲が暴走している主人公、という文字からは想像できないほど生真面目な綾ちゃんを応援したくなります!
なかお:ありがとうございます。彼女は真面目すぎて少し考え方が幼いところがあるかもしれません……(笑)。じつは、人によって恋愛とセックスの
境界線が違うことを伝えるのも、今作の裏テーマなんです。
恋愛感情なしのセックスがNGな人もいれば、スポーツ感覚でセックスできる人もいる。なかには、堂島のようにワンナイトであっても「ココロ」を大事にしたいという人もいるはず。そうした登場人物一人ひとりの言動から、何かを感じてもらいたいという想いはありますね。