――読者の方からはどんな感想が届いていますか?
なかお:連載開始前は「絶対に叩かれる」と思って臨んだのですが、シーモアの読者は漫画好きな方が多く、純粋に恋愛漫画として楽しんでいただいているようです。想像以上に、綾に共感して「恋愛したくてもできない!」という声が多かったのは驚きましたね。
ワンナイトに興味があっても、それを行動に移すのは難しいのが現実です。綾は漫画の登場人物なので“暴走気味”に描いていますが、
女性にも性欲があるという部分に共感していただけたようです。

(C) なかおもとこ/シーモアコミックス
――たしかに「性欲は誰にでもある。でもそれを口に出せるほど世の中は寛容ではない」「性欲を男性に委ねなきゃいけないの?」など、独特な視点のセリフが多いので驚きました! セリフやストーリーづくりで意識している点はありますか?
なかお:センシティブなテーマなので白黒はつけず、問題提起に留めるようにしています。ネット上に寄せられる感想のなかには「そんなにセックスしたいなら、誰でもいいじゃん」「女性用風俗に行けばいいのに」という内容もありますが、周りの友人に聞くと「ときめきは少しでも欲しい」「お互いに対等な関係として選びたい」という声のほうが圧倒的に多かったんです。

(C) なかおもとこ/シーモアコミックス
その一方で、ワンナイトの相手をときめきで選べば、本気で好きになってしまうかもしれない。普通の恋愛漫画ならそのストーリーもありえますが、この作品の軸はワンナイトにあるので、別の答えも提示したいんです。
正直、恋愛とセックスのどちらに重点を置くべきか毎回悩みますが、個人的には女性の性や恋愛にも多様な考え方があると、作中で示せただけでも描いた甲斐がありました。
【なかおもとこプロフィール】
漫画家。エンターブレインでデビュー後、短編集『おたくカレシ。』(COMICポラリス)、仏教系高校を舞台にした『ぶっだなでいず』(双葉社)などの連載を経て、2024年より『
マイ・ワンナイト・ルール』を総合電子書籍ストア「コミックシーモア」にて連載中。2025年1月には同名ドラマが放送され、話題に。
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<取材・文/とみたまゆり、作品クレジット(C) なかおもとこ/シーモアコミックス>
とみたまゆり
週刊誌や漫画の書評などジャンルにこだわりなく執筆する中堅ライター。三毛猫が好き