今回問題視されたのは主に「電子コミック」の広告でした。「関係ないサイトで、過激な性的バナー広告が表示されてびっくりした」など、皆さんも覚えがあるのではないでしょうか。

苦情の対象となった性的な広告の8割以上はインターネットに掲載されたもので、うち206件が電子コミックに関する苦情、広告主名が特定でき日本電子書店連合の会員企業とわかったものは110件でした。
「電子コミックの性的な広告に対する苦情の内容としては、『映画について調べていたら、漫画の性的な広告が出た』『ランチ情報の検索中に性的な漫画動画が表示された』など、
日常的な利用のなかで突然表示される広告への不安が多く寄せられていました。
苦情の件数は広告主である企業別に集計しているのですが、電子コミックについては2023年までは広告主別に見ると苦情の件数はそこまで多くなかったのが、2024年下半期以降に件数が急増しました。これには、性的なネット広告のゾーニングを求める、オンラインの署名運動も大いに関係していると思われます」
そこでJAROでは、特に件数の多い広告主や業界団体に対して「情報提供」を行いました。情報提供とは、
広告主や関係する業界団体に対して、「こうした苦情が寄せられています」といった形で事実や意見を伝えることです。

「性的な広告については、2024年8月から2025年3月までに、苦情の件数の多かった広告主に対して情報提供を行いました。また、電子コミック広告に対する苦情は2024年11月に急増したので、2025年1月に2社へ伝えています。2社以外にも苦情は寄せられていたので、同年4月に『日本電子書店連合』に情報提供を行いました。
ただ、
苦情の件数に一定の目安を設けつつも、数だけで判断するということはありません。内容が重大であれば1件でも広告主への情報提供を行うなど柔軟に対応しています」
JAROから情報提供があったあと、「日本電子書店連合」が会合を行い、性的広告──読売新聞の報道によれば性行為や裸、胸などが描写された電子コミックの広告について、全年齢向けサイトでの出稿停止が決定されました。
「あくまでも、JAROは苦情についての情報をお伝えしているだけなので、今回は『日本電子書店連合』の判断で決定をされました。
我々は民間の自主規制団体ですので、警察機関のように何かを取り締まることはできません。ただ、今回は日本電子書店連合さんに、協力をしていただけたことはとてもよかったと考えています」