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「投票に行く前に思い出したい」3つの名作ドラマが描いた“日本の闇”。朝ドラの“空気に流される地獄”が突き刺さる

選挙で“作られた空気”に踊らされる有権者

 次に1月から放送された『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系)。区議会選挙での当選を目指す元テレビ局のプロデューサー・大森一平(香取慎吾)が、庶民派アピールをするために義弟・小原正助(志尊淳)親子と一緒に生活する様子を描いたホームドラマだ。
日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった

画像:フジテレビ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』公式サイトより

 作中、当初は区議会選挙に出馬する予定だった一平は、区民のより良い生活を実現するために区長選に出馬する。そして、4期連続当選中の区長・長谷川清司郎(堺正章)を引きずり下ろすため、あえて“最低男”を演じて一平の幼馴染で同じく区長選に出馬している真壁考次郎(安田顕)に票が流れるようにアシストする場面があった。この展開からは「選挙はその時の“空気”が決めてしまうのだな」と感じずにはいられない。 「暴露系YouTuber」として知名度を集め、2022年7月の参議院選挙で当選した「ガーシー」こと東谷義和も、時代が生んだ政治家と言える。本作で有権者は一平の術中にまんまとハマるが、その様子はどこか滑稽(こっけい)だった。しかし、東谷をはじめ、知名度が高いだけで政治家としての資質が不透明な候補者が当選するケースは頻出しており、実際のところ決して笑えない。世論、もとい政党側のマーケティングによって恣意(しい)的に生み出された空気に、踊らされないように注意する必要性を本作から強く感じた。

「苦しい人は自己責任! 邪魔なやつは攻撃して排除」

 ちなみに最終回で一平は「自分が良ければそれでいいし、苦しい人は自己責任!」「いいよね? 邪魔なやつは攻撃して排除すりゃさ!」と喚き散らして区民からのヘイトをかき集めるシーンがある。現実でも差別や分断を煽るような演説を見せる候補者は一定数いるが、残念ながら賛同する人は少なくない。  このシーンを今見ると、「ヘイトに異を唱える有権者ばかりではないのでは?」と有権者の反応に違和感を覚えそうな自分がいた。
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朝ドラが描く「戦争の真の怖さ」
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