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「投票に行く前に思い出したい」3つの名作ドラマが描いた“日本の闇”。朝ドラの“空気に流される地獄”が突き刺さる

朝ドラが描く「戦争の真の怖さ」

 もう1つは現在も放送されている朝ドラ『あんぱん』(NHK総合)だ。国民的キャラクター『アンパンマン』を生んだ漫画家・やなせたかしさんと妻の小松暢(こまつ・のぶ)さん夫妻をモチーフにした本作。4月から放送され、前半の3か月は柳井嵩(北村匠海)と朝田のぶ(今田美桜)の生い立ちに加え、戦時中の鬱屈した空気感が映し出された。
『連続テレビ小説 あんぱん 賜物(NHK出版オリジナル楽譜シリーズ)』

『連続テレビ小説 あんぱん 賜物(NHK出版オリジナル楽譜シリーズ)』(NHK出版)

 出兵を“名誉あること”と認識され、それを否定しようものなら非国民扱いを受ける。まるでSF映画を見ているような非現実的なシーンの連続ではあるが、たしかに数十年前にこの国であった光景なのだろう。  また、兵隊に取られた嵩は、先輩からの理不尽な暴力を受け続け、戦地で飢餓に苦しむが、勇ましく敵国とドンパチやる様子は描かれない。銃も敵兵を登場させずに戦争の恐ろしさを見事に表現しており、改めて戦争を二度と起こしてはいけないと感じた

もし憲法が改正されれば、日本の戦争が現実になるかも

 言い換えれば、もし憲法が改正されれば、そしてこの国の主権が国民ではなく国家になれば、日本は戦後から戦前の国になるかもしれない。自分自身は出兵したくない。友達や未来ある若者にも当然、嵩をはじめ兵隊として戦地に赴いた登場人物たちのような思いはしてほしくない。『あんぱん』を見ると、各政党、候補者が憲法についてどのような考えを持っているのかを今まで以上に注目したくなった。  ドラマはあくまでエンタメの1つだ。嫌な日常を一時的に忘れさせてくれる役割を果たしてくれる瞬間もあるだろう。ただ、政治や社会問題に目を向けるきっかけも与えてくれる。政党を選ぶための情報収集としてドラマを見てみるのも悪くないのではないか。 <文/望月悠木> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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