本作を彩っているメンバーとして、連続テレビ小説『あさが来た』(NHK総合)や大河ドラマ『青天を衝け』(同)など、
長年にわたって映像作品の脚本を書き続けてきた脚本家・大森美香の存在も大きい。大森のセリフ選びや遊びが作品の空気を柔和にし、リラックスして見られる“終活ドラマ”にしている。高城氏は大森との印象的なエピソードとして、オファーした時のことを振り返る。

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「私はもともと大森先生が脚本を書かれたドラマ『カバチタレ!』(2001年放送、フジテレビ系)の大ファンなんです。同作では
『幸せな女と思われたい』というセリフがあり、いち視聴者として衝撃を受けました。当時の私の願いと重なっていて(笑)。
一方で、『ひとりでしにたい』の原作には、鳴海が『
無意識のうちに他人の目から見て、良い人生・良い死を目指していた気がする』と口にするシーンがあって。その言葉が今の私には、すごく刺さったんですよね。
24年前とは価値基準が大きく変化した今、『幸せかどうかは自分で決めていい』というメッセージを届けるドラマを作りたいと思い、ずっと憧れていた大森先生にお声をかけさせていただきました」
ドラマの全6回を通して鳴海の気づきの様子が描かれているようで、「鳴海は当初、孤独死した光子を『かわいそう』と思っていたのですが、
回を重ねるごとに『本当にそうなのか?』『何も知らずに勝手に同情していないか?』と疑問を持つようになります。鳴海の心境の変化にも注目してもらえると嬉しいです」と語った。
終活や孤独死について考えることを通して、自分自身のライフプランだけではなく「価値観」も見直したくなる本作。最後にそんな本作に込めたメッセージを聞くと、「やはり『人からどう見られるのか』ではなく『
幸せは自分で決めていいのでは?』と同様に『
他人の人生の選択も尊重してみては?』という提案というかエールを送れたら、と思っています」と答える。
「また、終活は“人生の締め方”と思われがちですが、
『今をどうやって楽しく生きるのか』『残された時間の中で何ができるのか』を考える時間だと私自身、原作を読んで意識が変わったように思います。なにより、結局は死は誰にでも訪れる出来事です。終活を年を取ってからではなく、若いうちからでも意識できたら人生がもっと豊かになるのかもしれませんよね」
ポップすぎる終活ドラマ『ひとりでしにたい』。終活や孤独死のイメージをガラリと変えてくれた本作が、どのようなフィナーレを迎えるのか楽しみだ。
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「大好きだった伯母が孤独死した」39歳・独身女性の不安と焦りを、あえて“ポップ”に描く狙いとは?『ひとりでしにたい』制作統括インタビュー
<取材・文/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):
@mochizukiyuuki