本作の魅力として、クセの強い登場人物たちが挙げられる。赤木は婚活で知り合った男性・内田和樹を親しみを込めて「ザコ」と呼んだり、赤木の同僚で“婚活のベテラン”の青島は非情なまでの合理主義者だったりなど、アクが強すぎるがゆえに共感できない部分は少なくない。
一方で、婚活のネガティブな側面を包み隠さず描いていることがリアリティにつながっている印象も受ける。各登場人物を描くうえで意識したことを聞くと、「
どこか応援したくなる要素がある人物像は心がけていました」という。
「クセがあるけど憎めないやつといいましょうか。
クセがある登場人物が多いのは、『婚活が題材だから』というより、私自身がクセが強いキャラが好きだからだと思います。あと悪役を作りたくなかったので、読者が特定の登場人物に肩入れしないような構成を意識していたかもしれません」
また、登場人物に“共感させすぎない”ということは意識して調整したのだろうか。登場人物を描くうえで意識したことについて「本作はギャグ漫画なので、キャラの強さを優先していますが、そのために共感性が犠牲になっている部分はあると思います。しかし本来共感性は好感度を左右するので、共感してもらえるなら、共感してもらったほうが良いと思います」と語った。
“共感”にこだわりすぎると、キャラの個性が失われる。裏を返せば、個性のあるキャラは共感されにくい。その辺りの塩梅はとても難しそうだが、絶妙なバランス感で描かれている。
セカンドシーズンから赤木の中学の同級生男性・岬が登場し、彼女との交流を深めていく。新キャラを赤木の相手役として登場させた経緯として、「まず『セカンドシーズンは2巻分』と尺が予め決まっていたので、尺を省くために16話で登場していた中学時代の同級生の岬さんを再登場させることにしました」と説明する。
「
本作は物語の都合上、赤木さんが男性と上手くいってしまうと物語が終了してしまうので、両想いの場合は男性が別れの原因となりうる問題を抱えている必要があります。そこで岬さんは性格も顔も良い男性なので、“稼ぎの極端に少ない男性”にしました」
岬もかなり強力なクセを持つキャラではあったが、他にも、登場回数は少ないながら“爪痕”を残したキャラは多い。中でも、赤木の同僚で異常なほどの恋愛体質の石黒リエのインパクトは抜群だった。石黒についても語ってもらった。
「私は物語を描きながらキャラを肉付けして定義していくことが多いのですが、石黒さんの場合はかなり初めの段階から、
“大人しそうに見えるが作中最凶クラスのヤバい人”と定義していました。なので、それを少しずつ開示していって、38話で実態を明らかにするという感じになりました」