「なんと彼の横には小柄で可愛らしい女性がいて『あ、彼女は1年前から付き合っている夏希(仮名)。グラフィックデザイナーをやってるんだ』と紹介されてしまって、はぁ? って感じでしたね。
普通彼女いるのに、元カノ部屋に呼ぶ? ありえないだろ? と心の中で叫んでいました」

拍子抜けしてしまった紘子さんは一瞬“やっぱり帰ろうかな”と思いましたが、正直エアコンの効いた涼しい部屋が気持ち良く、とりあえず指輪を返してもらうことにしたそう。
「そしたら直樹の部屋で封筒に入った指輪を渡された時に、こっそり耳打ちされてしまって」
実は大掃除中、この指輪が出てきた時に「
こんな大切なものは絶対に本人に返してあげなきゃダメだよ」と、夏希さんが紘子さんに連絡するよう強く言ってくれたというのです。
「さらに『
エアコンが壊れたのなら、ここに泊めてあげればいいんじゃない? 私もいるんだし安心でしょ』と言ってくれたのも、夏希さんだっていうんですよ」
そして直樹さんも初めは「彼女もいるけどいい?」と紘子さんに伝えようかと思ったものの、「そんなことを言うのは、紘子から復縁を迫られると勘違いしている自意識過剰な行動では?
紘子はただエアコンの効いた部屋で眠りたいだけなのだから、別に言わなくても構わないだろう」と判断したそう。
「もちろん最初はちょっと面白くなかったですが、普通に夏希さんがいい子で……すぐにシャワー浴びさせてくれて『暑くて大変でしたね』って冷たい麦茶を出してくれたりと、なんだか居心地がよく、いつの間にか3人で楽しく話をしたりして、不思議な気持ちになってしまいましたね」
2人にとてもお世話になった紘子さんは、少し直樹さんに下心があった自分を恥じました。
「やっぱり
夏希さんみたいな子と付き合える直樹は改めていい男だったな。よかったね! と心から思えたんです」