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国民的ドラマ出演の“天才子役”。高認合格→「TOEIC930点」の英語力を手に入れるまで

渡鬼の現場で培った「めげない」「くじけない」力で

 ただ、渡鬼の現場で鍛えられた私は、めげる・くじけることはめったになかったです。 ・結局、ネイティブやバイリンガルに、英語力は敵わない。 ・発音はそこそこ通じる。 ・日本語の理解力や文章力はむしろ高いほう……。  勉強と海外ひとり暮らしでヘロヘロの日々でこう理解し、英語力と同時に、コミュニケーションが取れるようになろうと決意しました。いわゆる「コミュ力」です。  その頃は他責思考というか、人任せで甘ったれな部分だらけ。しかして、留学先ではうっかりしていたら部屋を追い出されて明日から宿なし、なんてことも起こります。  実際1回危なかったんですよ! スカイプ(そう、当時はスカイプで交流しておりました)で盛り上がって大騒ぎしてしまったら、シェアメイトから大家さんに苦情が入ったようで、「あと一回やったら出てってもらうから」みたいなメールを受け取りました。あれは怖かった……。  母と姉はコミュニケーションをとるのが得意で、末っ子の私はマイペースのまま甘やかされていました。まさか数千キロ離れたカナダで、23区の端っこの実家に住む人々の能力値の高さを実感することになるとは。他にも今まで見てきた芸能界の方々を参考にし、己のふるまいを少しずつ変えていきました。  多文化共生社会を目指していたカナダという土地で、人とぶつからない、相手を尊重するコミュニケーションを学べたのは、留学の大きな成果だったかな、と今は思います。

日本語力と現場力を活かして

留学当時

留学当時

 海外育ちではなく、赤坂TBS育ち(笑)の私。  ただ英語が好きで、いろんな世界を知り、いろんな人と話してみたかったから勉強してきました。  昨今はAIの精度がどんどん高まり、機械翻訳で会話もメールのやり取りもほぼ問題なくできてしまう時代です。語学と同時にコミュニケーション能力を伸ばそうと試みたことは、そこまで間違っていなかったような気がします。  今年TOEICを受けなおし、930点という自分の最高点を更新することができました。でも、本当にまだまだなんです。  インバウンド需要を受け、あちこちの知人から「手伝ってくれ」と頼まれることが増えまして。茶道と歌舞伎と漫画・アニメに詳しい、着物が着られる英語話者はあんまりいないそうな。オタク趣味が役立っている(笑)。  私の人生、空回りだらけに見えて結局、すべてが連動しているようです。なんだかんだ過去って役立ってくれるものだなあと最近しみじみ思います。風が吹けば桶屋が儲かるとでも申しましょうか。  あらやだ! ここは英語で「Butterfly Effect」ってかっこよく言うべきでした。  やっぱり、まだまだです。 <文/宇野なおみ>
宇野なおみ
ライター・エッセイスト。TOEIC930点を活かして通訳・翻訳も手掛ける。元子役で、『渡る世間は鬼ばかり』『ホーホケキョ となりの山田くん』などに出演。趣味は漫画含む読書、茶道と歌舞伎鑑賞。よく書き、よく喋る。YouTube「なおみのーと」/Instagram(naomi_1826)/X(@Naomi_Uno)をゆるゆる運営中
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