35歳LDH俳優が妻と同じ「韓国の芸能事務所」と契約。“夫婦そろって磐石”と言えるワケ
夫婦揃って磐石なキャリア形成に期待すること
このブースト画面自体が現在の町田啓太の勢いそのものをブーストする。カメラワークの勢いに比例するかのようにグローバルな展開を目指す。デビュー15周年を迎えた2025年、現在35歳の町田のキャリア形成は順当というか、着実で磐石の体制だと思う。 2022年のクリスマスには、韓国と日本、両国で活躍する玄理と結婚した聖夜のサプライズ感が話題になった。レプロエンタテインメントに所属する玄理もまた2025年4月に先んじてHBエンターテインメントと専属契約を結んだ。夫婦揃って二重にも磐石。であるからこそ、こちらも存分に今後のキャリアの躍進に期待できる。 日韓を行き来する玄理が出演してきた日本国内作品を見ると、自分がどんな作品に出演するべきかという作品選定の色がかなりはっきりしている。 『破れたハートを売り物に』(2015年)の青山真治監督、『スパイの妻<劇場版>』(2020年)の黒沢清監督、『偶然と想像』(2021年)の濱口竜介監督。現代の日本映画を代表する巨匠監督たちの名前がずらり。 国内作品に出演する玄理がこうした巨匠たちの作品に出演することで俳優としての特色を規定してきたなら、逆に町田も韓国の巨匠監督たち(例えばポン・ジュノやホン・サンスなど)の作品に出演することを期待したい。
“二つのハート”が結んでいる
ここで、上述した玄理出演作から一作を取り上げてみたい。甲斐バンドの代表曲をモチーフにした5編の短編作品集である『破れたハートを売り物に』の一編「ヤキマ・カナットによろしく」(「HERO〜ヒーローになる時、それは今~」がモチーフ)にバーの女性客役で出演した玄理は、15分ほどの作品尺の中で一言もしゃべらない。つまり、台詞が一つもなかった。ではどうしていたか。 同じく台詞ゼロの客役でカメオ出演する甲斐よしひろとともテーブル席に座り、カウンター席に座る主人公のスタントマン(光石研)がつるべ打ちでしゃべりまくる九州弁にただ耳を傾けるだけ。時折、合間で玄理が写る。ちょっと視線を動かしたりするリアクションで、バー内の状況の変化や空気感の変動を伝える。 画面に写るのは全5カット。ほんとただ座っているだけだというのにハッとするくらいいい演技だ。『破れたハートを売り物に』はエルビス・プレスリーの楽曲を英訳した作品集タイトルなのだが、ガラス(グラス)のようにもろく破れそうなくらい繊細で美しいバンドマンたちの心(ハート)模様を描く『グラスハート』と単純にタイトルの類似がある。どちらも音楽をモチーフにしたことでははっきりしている。 町田啓太と玄理は『CINEMA FIGHTERS』の一遍「終着の場所」(2018年)で初共演。『グラスハート』ではキーボード担当・坂本一至役で出演する志尊淳の主演ドラマ『女子的生活』(NHK総合、2018年)でさらに共演を重ねた。 玄理が出演した過去作と町田が出演する最新作とのほんの類似から盤石なキャリア形成を展開する彼らを“二つのハート”が強く結んでいるのかもしれないと思った。 <文/加賀谷健>
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