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「うちの子変わってる? これは個性?」悩む親たちに精神科医が提案する“新しい言葉”。 親子の自己肯定感が変わる

「うちの娘たち、発達ユニークなんですよね」

――さわ先生ご自身も、悩まれていたんですね。 さわ先生:はい。そんな中で、本の出版や講演会などで自己紹介をする機会が増えました。自己紹介の中で、私の娘の話をすることが増えたんですね。  私の娘は長女がASD(自閉スペクトラム症)で、次女がADHD(注意欠如・多動症)とSLD(限局性学習症)です。最初は自己紹介で「長女がASDで、次女がADHDとSLDで」と別々に説明していたのですが、なんだか長いし時によっては診断名まで伝える必要もないかもなと感じていました。そこで、あるとき「うちの娘たち、発達ユニークなんですよね」と一言で説明したんです。 ――わかりやすい表現ですね。 さわ先生:そうしたら、聞いている方たちから「その表現いいね!」と言ってもらえたんです。 親子 ポジティブとかネガティブとか、捉え方を意識して言ったわけではありませんでした。それぞれがその子らしさを持って生きている、娘たちのありのままを表す自然な言葉として出たのが「発達ユニーク」だったんです。ユニークさはその子らしさであり、ポジティブに働くときもあれば、ネガティブに働くときもある。そんなニュートラルな意味を伝えるのにぴったりな言葉だったんです。

その子の発達をユニークさとして受け止めて

――その子らしさが伝わります。 さわ先生:そもそも、全く同じ発達過程をたどる人はいません。全ての人に発達のユニークさがあるんです。ただ、そのユニークさに困っている人がいるのも事実です。だから、そのユニークさをどう理解し、困っているなら周囲がどうサポートするかが大切です。「発達ユニーク」という言葉は、その概念を伝えるのにわかりやすいと感じています。 ――発達のユニークさに、「神経発達症」などの診断名の有無は関係するのでしょうか。 さわ先生:診断名の有無より大切なのは、そのユニークさによって社会生活で本人や周りが困っているかどうかです。病院で診断名がついたからといって困りごとが解決するわけではありませんよね。困っているなら診断の有無にかかわらず、その子の発達をユニークさとして受け止め、周囲がサポートしていく社会であってほしいと思います。その子が何に困っているのか、家族や周囲がどうサポートし、環境を整えていくかが支援の本質なんです。
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言葉でレッテルを貼らない社会に
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