朝ドラ『あんぱん』27歳俳優の“腕組み”の変化にしびれる。百貨店を退社する前後で違いが
『あんぱん』(NHK総合)で主人公の夫を演じる北村匠海の演技がうま過ぎて、ちょっとした動作も見逃せない。
戦前場面の微動もいちいち気になるが、戦後を描く本作後半部では、特にキャラクターの葛藤や逡巡を経た、腕組みが基本姿勢となる。視聴者も思わずつられて腕組みをしまうくらいだ。
北村匠海演じる柳井嵩が、百貨店を退社する前後で変化する、この腕組み。男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が解説する。
今田美桜主演の朝ドラ『あんぱん』で、北村匠海演じる漫画家・柳井嵩は、国民的漫画『アンパンマン』の作者であるやなせたかしをモデルにしている。第18週第88回では、主人公・柳井のぶ(今田美桜)に感動的なプロポーズ。二人はめでたく結婚した。
家計面でのぶに心配をかけ柳井嵩は三星百貨店の宣伝部で画才を発揮して懸命に働く。社内での評価は高まる一方で、漫画家の夢に対して焦りを感じる。そこで漫画仕事の副業収入がサラリーを上回ったところで、百貨店を退社。
でもいざ漫画家として独立してみたけれど、仕事がない。嵩は打ち合わせという口実で、馴染みの喫茶店に入り浸り、独創漫画派という仲間たちとああだこうだとあてもない会話でやり過ごす日々……。
喫茶店にはほんの口約束程度でいい感じを漂わせて原稿を依頼してくる編集者も出入りしている。独立してやっとまともな依頼がきたと少し嬉しい嵩はさっそく仕上げようとするが、やっぱりいいですと依頼を白紙にされる。
第20週第96回で嵩はしょげる。あの編集者はそんなものだよ。カウンター席で仲間たちから励まされる嵩は、原稿を入れたカバンを抱き締めるように座っている。独立直後の嵩は基本的に弱々しい感じで腕をホールドしている。
徐々に軌道にのってくると、ホールドする姿勢も力強く変わってくる。それが百貨店を退社する前後でのはっきりした変化なのだが、どう力強くなっているのか。退社前の場面まで少し遡ってみる。
漫画家として独立してみたけれど……
百貨店を退社する前後での変化
喫茶店にはほんの口約束程度でいい感じを漂わせて原稿を依頼してくる編集者も出入りしている。独立してやっとまともな依頼がきたと少し嬉しい嵩はさっそく仕上げようとするが、やっぱりいいですと依頼を白紙にされる。
第20週第96回で嵩はしょげる。あの編集者はそんなものだよ。カウンター席で仲間たちから励まされる嵩は、原稿を入れたカバンを抱き締めるように座っている。独立直後の嵩は基本的に弱々しい感じで腕をホールドしている。
徐々に軌道にのってくると、ホールドする姿勢も力強く変わってくる。それが百貨店を退社する前後でのはっきりした変化なのだが、どう力強くなっているのか。退社前の場面まで少し遡ってみる。
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