ところが、何度か一緒にカフェや買い物へ行くようになると、義母の態度にモヤモヤすることが増えました。カフェ中には義父の愚痴を延々と聞かされるようになり、ショッピングに行くと、あさこさんが洋服を見ているのに「これ似合う?」と尋ね、試着などを妨害してくるのです。
「最初は行くお店も2人で相談して選んでいたのに、いつの間にか私が提案するお店はすべて却下されるようになって……。なんだか、都合のいい相手として扱われているような気になったので一度、距離を置こうと思いました」
そこで、義母からいつものようにお出かけのお誘い電話がかかってきた時、「仕事忙しくなってしまったので、しばらくは一緒に出かけるのが難しいかもしれません」と伝えました。
すると、義母はしばらく沈黙した後、「ずっと思ってたけど、あなたは女じゃないよね。男だよ! 一緒に買い物へ行ってもワイワイできないし、無口だからカフェでお喋りしてもつまんない。普通の女の子とは考え方も違うなって思うしさあ……」と、あさこさんの性格を理由に、生まれ持った性別を否定。
さらに、「もっと女の子らしい娘がほしかったわ~。息子も見る目がなくて困る」と嫌味を言ってきたのです。
「義母が言うとおり、たしかに私は無口なほうです。でも、それは義母が延々と自分の話をするから聞き役にならざるを得なかったという理由もありました」
自分の行動は振り返らないのに、他人のことは平気で蔑む……。そんな義母の態度に腹が立ったあさこさんは、反撃に出ることに。
「でも、お義母さんも女っぽくないですよね。普通だったら、女性は共感性が高いので、相手が不快になる言動を察することができると思うんですが、いつもできてませんもんね」と、義母に言い返したのです。
それを聞いた義母は、激怒。「私はちゃんと相手のことを想って行動してるし、あんたが思う女性っていう枠に当てはめないでよ!」と反論してきました。
それを聞いたあさこさんは、予想通りの返答だとニヤリ。「ね? 自分が思う女性像に当てはまらないことを理由にけなされると不快になるでしょ? 私も、さっきそうでしたよ』と、さらに言い返しました。
すると、義母は返す言葉がなくなったのか、「もうカフェも買い物も誘わないし、家族での集まりにも呼ばないから」と言い、一方的に電話を切ったそう。以来、あさこさんは義母と会っていません。

「ぬるま湯みたいな空気感が心地よかったので、家族の集まりに呼ばれなくなったのは残念ですが、結局、自分の家族は自分の手で作っていくしかないんだなと改めて気づかされた気がしました」
義母に母親を重ね合わせ、親子みたいな関係を望んでいた自分がいたことも、きっとトラブルの原因になった……。そう話すあさこさんは現在、第一子を妊娠中。これからは、幼い自分が求めた家族や親子関係を自分の手で作り、心を満たしていきます。
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<取材・文/古川諭香>
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291