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21歳新人俳優が“有名すぎる2人の父親”に言及する正直さがスゴい。ドロドロ不倫ドラマで注目

ドラマデビュー作『奪い愛、真夏』

金曜ナイトドラマ『奪い愛、真夏』公式サイトより

金曜ナイトドラマ『奪い愛、真夏』公式サイトより

 倉科かな主演ドラマ『奪い愛、冬』(テレビ朝日系、2017年、フォトジェニック賞歴代受賞者の三浦翔平が狂気の熱演!)を第1作とする「奪い愛」シリーズ最新作(第5作)『奪い愛、真夏』が放送中だが、谷原七音にとって本作がドラマデビュー作であり、事務所所属後初の俳優仕事ということになる。  研音ホームページに掲載されている日記(2025年7月6日)で谷原は「台本に自分の名前が載っているのをみたときは、言葉で表現できないほどの喜びと何よりも純粋な嬉しさがありました」と素直な喜びを綴っている。  ドロドロ中のドロドロをこれでもかと大袈裟に濃縮した、この“るつぼ型”不倫ドラマで、谷原七音はどんな初登場だったか?  第1話、松本まりか演じる主人公・海野真夏が時計会社に入社。社長の空知時夢(安田顕)は妻・未来(高橋メアリージュン)との夫婦生活がどうやらうまくいっていないらしい。画家である未来のアシスタント・氷室輝を演じているのが谷原だ。

演技の強弱を付けやすい不倫ドラマで顔見せ興行

 ドロドロ不倫の物語に比例して、俳優たちの表情もまた序盤からドロドロ強ばる。なのに谷原だけが無垢な顔をしている。それは単純に初ドラマ出演の彼の演技が初々しいからでもあるが、画面上の彼はその無垢で純朴に(見える)美大生という役をきちんと演じようとしている。  初登場場面ではまず、未来のアトリエを引きの絵で写すカメラがぬるりと前進。上手側奥から前方へ歩く輝がフレームアウト。そのあと、カンバスに向かう未来の背後から輝が「あのう……」と話しかける。これが第一声。  そしてもう一度「あのう……」と繰り返す。新人とは思えない溜めの作り方と余韻。そして安定した声色。薄味だがとてもうまい。極端に緊張感が持続する不倫ドラマでは、新人俳優でも演技の強弱を付けやすい。  クライマックスに向かう第7話は、真夏と時夢の不倫関係を生々しいタッチで自作に描く未来による怒涛の復讐編。 「最高の作品」制作に取りかかろうとする未来がアトリエのソファを移動させる。カメラは前進。「よいしょ」と可愛らしい声でソファの左端を持つ輝が下手からフレームイン。  少ない出番の中でもひょこっと印象的にフレームに入ることで、本作は谷原七音の盤石の顔見せ興行になっているのだ。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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