Entertainment

『あんぱん』北村匠海、10代から70代まで自然に演じ分け。「歩き方まで逆算していた」役作りの舞台裏

 現在放送されているNHK連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合・毎週月~土あさ8時~ほか)。ストーリー展開もさることながら、番組公式SNSが定期的に投稿するオフショットを楽しみにしている朝ドラファンは多い。
NHK『あんぱん』

NHK『あんぱん』© NHK(以下同じ)

 オフショットからはキャスト陣の仲の良さ、撮影現場の空気感の良さが伝わってくるが、実際のところどうなのか。『あんぱん』の制作統括・チーフプロデューサーを務める倉崎憲氏に、撮影現場の雰囲気など話を聞いた。 【前回記事】⇒朝ドラ『あんぱん』が一度も中だるみしなかった“納得の理由”。「1年間の撮影もずっと新鮮」制作統括が語る舞台裏

「最終的には“人”になる」北村匠海の言葉

 まず倉崎氏は「前室(撮影前にキャストやスタッフが待機するスペース)も含め、現場のグルーヴ感はとても良く、それが画面にもにじみ出ていたと思います」という。その要因として柳井嵩役の北村匠海の立ち居振る舞いを挙げる。 「北村さんは撮影期間のこの1年間、スタジオ収録時に楽屋に戻っていないんです。昼も夜ごはんも前室で食べるなど、積極的にキャストやスタッフとコミュニケーションをとり、現場の空気感を作ってくれました。  北村さん自身、長期戦における朝ドラの作品づくりに関しては『最終的には“人”になる』と話していて、私もその通りだと思います。どんな話でもちゃんとできる人間関係の良さはダイレクトに作品の雰囲気に直結するのですが、北村さんもそのことをわかっていたからこそ、楽屋に戻らなかったのでしょう」

嵩の年代ごとに、所作に差をつけている

 北村の話題が出たが、北村といえば各年代の嵩を演じ分ける、その演技力の高さがSNSなどで評価を集めている。10代から登場し、20代、30代と1人でさまざまな年齢を演じなければいけない。ただ、それぞれの年代の嵩に違和感を覚えさせない演技を自然に体現している。この北村の演じ分けるスキルについて、「逆算しているんですよ」という。 NHK『あんぱん』「クランクイン前から歩き方なども含めて『10代の時はこんな感じかな?』ということをいろいろ考えられていたんです。そして、クランクイン初日に嵩の歩き方や佇まいを見て、『本当にやなせさんは10代の時にこんな感じだったのでは?』と思わされました。最終的に嵩は70代になるのですが、やなせさんの所作や抑揚なども逆算して、年代ごとに差をつけていました」  カメラを向けられている時も、そうでない時も良い作品を創るために、いろいろな考えを巡らせていたのだろう。改めて北村匠海という役者のすごみを感じる。
次のページ 
いつも笑顔を絶やさなかった今田美桜
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ