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『あんぱん』北村匠海、10代から70代まで自然に演じ分け。「歩き方まで逆算していた」役作りの舞台裏

子役・木村優来は、20年前の北村匠海

 他にも、印象的な北村のエピソードとして、幼少期の嵩役を演じた木村優来とのやり取りを回想する。 「嵩の子役のオーディションには脚本担当の中園ミホさんも参加してくれたのですが、木村さんを見たときに『絶対この子だ』となりました。小学生ながらどこか哀愁があり、『哀しみも持ち合わせた子役はなかなかいない』と中園さんと話したことを覚えています。その後、顔合わせの時に木村さんの姿を見た北村さんが『20年前の俺みたいじゃん』と驚いていましたNHK『あんぱん』 第2週のラストで嵩役は木村から北村にバトンタッチされたが、急に大人になった嵩を不思議とすんなり受け入れられた。北村が「20年前の俺みたいじゃん」と言った通り、木村と北村に重なる部分があったことが大きかったのだろう。  木村だけではなく、のぶの子ども時代を演じた永瀬ゆずなも今田に流れるようなリレーを見せており、ベテラン俳優から子役まで一丸となっていたことが作品の高い評価につながっているのかもしれない。

いつも笑顔を絶やさなかった今田美桜

 続けて、倉崎氏はのぶ役の今田についても振り返り、「いつも笑顔でいてくれて、現場の空気を明るくしてくれました」という。  北村同様に今田も現場の空気感を作るために尽力してくれたことに触れるが、「現場では疲れを一切見せなかったのですが、時期によっては相当しんどかったのではないでしょうか。“軍国主義に染まる朝ドラヒロイン”という、従来とは異なる朝ドラヒロインを演じることは、かなりのプレッシャーがあったと思います」と今田の心情を慮る。 NHK『あんぱん』「また、105回でのぶが『何者にもなれんかった』と悔やむシーンがあるのですが、クランクアップの際に今田さんは『何者にもなれんかった』というセリフを、自分自身にも問いかけられているような瞬間もあったと涙ながらに話していました」  のぶが抱える葛藤に共感する場面もあり、そんなのぶを1年間演じ切ることの苦悩は計り知れない。にもかかわらず、その苦悩を見せず、笑顔を作って現場を明るくしていたのだから、今田の役者としての覚悟もすさまじい。
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撮影終了後、河合優実が見せた意外な行動
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