そこには、
大量のトロフィーと表彰状がきれいに並べられていました。
しかもそれらが全部、
道路に面した窓の外に正面を向けて飾ってあったのです。

画像はイメージです(以下同)
「私が目を離せずにいると、祐太さんは『
あぁこれ? 実は僕ずっと陸上部でかなり成績優秀だったんだよね』と話し始めました。気づいてもらえてご満悦の様子でしたが、私は正直言ってその光景にウッときてしまって」
祐太さんの部屋は2階なので、きっと通りすがりの人たちにはこの窓に置いてあるものははっきり見えるはず。自分の過去の栄光を見せつけたいという気持ちなのか、わざわざディスプレイ棚まで用意してドヤ顔でトロフィーを並べている姿を想像すると……有希さんの気持ちは徐々に萎えていきました。
ですが「ダメダメ! そうは言っても祐太さんは優しいし仕事もできる人。
せっかくいい雰囲気になれてようやくお付き合いできそうなんだから」と、作り笑顔でなんとか気持ちを立て直そうとしました。
「そんな空気に気づかない祐太さんが、ついに私に、好きだから正式に付き合ってほしいと告白をしてくれました。
そのままキスを求めてきたんですが……
やっぱりどうしてもトロフィーのことが頭をチラついて、うっとりすることができなくて。結局は交際をお断りして、帰ってきちゃったんですよ」
悲しみと恥ずかしさが混ざったような顔をした祐太さん。そんな姿を背にマンションを出るのは忍びなかった有希さんですが、外から祐太さんの部屋を見上げてたくさんのトロフィーが光っているのが見えた時「これでよかったんだ」と確信したそう。