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朝ドラ『あんぱん』24歳俳優が“10代から定年退職まで”を演じたスゴさ。老けメイクでもキュートさは健在

朝ドラ初出演で演じる年齢幅

朝ドラ『あんぱん』©︎NHK 健太郎が出征前にカレーライスを作る第10週第47回、東京芸術高等学校卒業後に広告事業社に入社していた。時代設定は、太平洋戦争が開戦する1941年。まだピチピチした20代前半の時期だ。  上述したように第24週では定年退職前の50代。とびきりキュートで薄桃色がかった空気感すらまとう高橋文哉が、朝ドラ初出演で、これだけの年齢幅を演じる。三人衆俳優の中では最年少(24歳)でもある。  上京してだいぶ経つというのに、変わらず人懐こい博多弁と「健ちゃん」という愛称、そしてどれだけ老けメイクを施されてもとびきりキュートであり続ける俳優本人の若々しさが、役柄の経年をとてもゆるやかに表現している。

恐縮する主人感も地味深い

朝ドラ『あんぱん』©︎NHK 一方、第25週第123回冒頭の食卓場面では、定年後の姿が定年前よりグッと老けた印象を与える。健太郎は言う。「暇やったけん、ぼんやり川沿いを散歩しちょったら、気づいたら、海に辿り着いちょっとです」。 「海」といえば、第7週第32回の浜辺の場面を思い出す。主人公・柳井のぶ(今田美桜)の妹で、妻になるメイコ(原菜乃華)が歌い、健太郎は隣でアコースティックギターをかき鳴らした。  あれは日本が太平洋戦争に突入する前夜の風景だった。まだ東京芸術高等学校の学生時分。たぶん、18歳か19歳。メイコとのツーショット長回し画面上、眉間をピチピチ動かして表情華やいだ。健太郎も若かった。  第123回では『アンパンマン』のミュージカル版『怪傑アンパンマン』がリハーサル中で、退職して暇を持て余す健太郎が手伝いにきた。メイコが演出家に「主人はNHKを定年退職して、時間だけはたくさんあるんです」と紹介する。思わず恐縮する健太郎の主人感もまた滋味深い。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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【放送情報】
『あんぱん』特別編
9月29日(月)~10月2日(木)(全4回)
[NHK総合]夜11時~11時25分
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