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人気だった『ナイナイのお見合い大作戦』が放送されなくなった理由。「恋リア」は好評なのに“ガチ素人の婚活番組”はなぜ消えた?

「結婚」が全てじゃない? 価値観の変化が与えた影響

なかでも、結婚を見据えたお見合いだからこその、気に入った男性の自宅に訪問するいわゆる“お宅訪問”のコーナーは一番の見もの。 高齢の母とたくさんのごちそうを用意したのに女性が誰も訪ねて来なかったり、せっかく前向きな女性がひとり来てくれたのに、もてなしがスーパーの小さなパック寿司のみという独居男性、一方、たくさんの訪問女性に囲まれて、シャンパンにイチゴを浮かべる地元の豪邸の男性……。 女性側も、何度も参加しているレギュラーメンバーもいたり、お互いバチバチな姉妹など、素人ならではの個性的な方々が多く、毎回見どころがあり、固定ファンも多くいた印象でした。 人気だった特番だったにもかかわらず、2019年から一切放映されなくなったのは、その後に発生したコロナ禍の影響もあるでしょうが、やはり価値観の多様化の影響は否めません。 『お見合い大作戦!』が放映されていた頃は、ギリギリまだ女性が男性の家に“嫁に行く”という価値観があり、その前提で番組を制作することができていました。しかし、今。選択的夫婦別姓制度の議論も高まり、同性婚をはじめとする様々な愛の形が浸透し、ぐっと時代の意識が多様性を認めようという方向に変わってきました。 すなわち、従来の価値観に沿った、結婚をゴールとしたお見合い番組が地上波で放映されるのは支持を集めにくくなっている――嫁に行くために女性たちが田舎に乗り込み、男性に選ばれるのを待つ(回によっては例外もありますが)なんて、もってのほかです。希望者を集めることも難しいでしょう。 思えば、冒頭にあげた最近の人気恋愛リアリティ番組は、すべてが“見たい人が選んで見る”配信です。ゴールも結婚ではなく「結ばれる」ことです。中には「誰とも結ばれない、けどハッピー」という結論の番組もあります。

マチアプの一般化とネットで特定されるリスク

また、お見合いサービスやマッチングアプリが一般化してきたこともあげられます。アプリなどの出会いに抵抗がない男女が増え、テレビのお見合い番組に頼らずとも気軽に婚活できるようになったことも地上波お見合い番組が減った要因としてひとつあるでしょう。
※写真はイメージです(以下すべて)

※写真はイメージです(以下すべて)

顔や名前、年齢、素性が全国にさらされることは、目立ちたいという意識の人でない限り抵抗感が強いものです。 しかも現在は、ネットなどで個人特定のリスクが高くなっています。結婚というライフイベントに真面目に向かおうとする姿が、テレビのフィルターを通して曲解され、炎上したりネットのおもちゃになってしまうこともあるでしょう。 まだネットの広まりが今ほどではなかった時代の『お見合い大作戦』でも、そんな事例が少なからずありました。
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時代遅れ感のある、熱心な男女への“出演者イジリ”
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