――やりたいことを貫いた北斎やお栄へのあこがれがあると言われていましたが、どちらかというと雛形さんも実現されてきた人生なのではないでしょうか?
雛形:好きなことはもちろんやれていると思うし、好きなことでお仕事ができているという認識は確かにあります。北斎を見ていると、好きなことをやるにはエネルギーがいることだし、それだけ信念を持つことも大事なことだと思うのですが、好きなことをやるということはまわりに迷惑をかけることもあると思うので、支えてもらってできていることを忘れちゃいけないなとも思いました。
――信念という意味では、芸能生活はどのようなスタンスで続けて来られたのでしょうか?
雛形:どんなことでも反省はしても後悔はしないようにしています。今回もお栄を演じるにあたり全力で挑みますが、どんな評価を得たとしても反省はするけれども後悔はしない。わたしは120パーセントでやったと自信を持って言えるようにしたいですよね。これはお芝居だけでなく、バラエティーでもどんな仕事でも、毎回そう思いながら臨みたいんです。
――また、美容についてニュースになるなど注目を集めることもあるかと思いますが、どのようなことに日々気をつけているのでしょうか?
雛形:子どもが25歳になり独立して家を出たので、時間ができたこともあると思います。夫婦だけの時間になり、わたしたちも独立して自分たちで会社を始めたので、自分たちに投資をするようになりました。自分たちの時間を大切にするということですね。食べるものはもちろん、パーソナルジム、見聞きしたいものを、自分たちを成長させる時間を密に作ったほうがいいよねと、この歳になってふたりで考えるようになったんです。
――なるほど、美に特化して何かをするのではなく、生活そのものを活性化させるような工夫をされているということですね。
雛形:そうですね。この一年で暮らしやすいように、リビング・ダイニングも全部模様替えしました。娘がいた頃は全体でおうちという感じでしたが、衣装部屋など空間を全部分けて、自宅全体の模様替えをしました。過ごしやすく、リセットしやすい空間にしました。たとえば台本にしっかり向き合える場所など、自分たちが有意義に過ごせる空間に変えました。
――この一年で具体的な効果はありましたか?
雛形:ありました。全然違います。これまで仕事をふたり別々でしていくという意識から、お互いにアドバイスをし合うようになりました。独立してひとつの会社にふたりだけで所属しているから、自分の役まわりじゃないけれど、自分たちの会社にとっては何がベストか話し合う。今回のお栄も台本を読むリビングで一緒に考えて、これが意外に有意義な時間なんです。結婚して10年以上経つのですが、そういうことをしたことなかったので、意外な発見でした。そういう時間を取ることも大事なんだなって。