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「女に嫌われる女」『じゃあつく』モラハラ・勝男よりも“鮎美”の方が、よっぽどヤバイ理由。歴代最高記録ドラマの裏側

鮎美は男に媚びまくる典型的な「女に嫌われる女」

 しかも、鮎美が清廉潔白・純真無垢な人格者であれば、彼女は“モラハラ男の被害者”と言えたかもしれませんが、実は計算高い性格だということが第2話で明らかになりました。  第2話では中学生ぐらいの鮎美の回想シーンが描かれましたが、その当時から自分は何が好きかより、男子からどうしたら好かれるかを考えていたそう。そして、モテに対する努力をしていない女友達を、《ましてやあなたたちみたいに何もせず、そのままの自分を愛してもらおうなんて、全然ダメ》と見下していたのです。  また、クラスのイケメン男子に上目遣いで媚びた口調で話す鮎美を見て、女友達は軽蔑の視線を送りましたが、鮎美は内心《友達なんていらない。私はモテに全ベットする》と思っていたほどです。
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画像:株式会社U-NEXT プレスリリースより

 鮎美がそんな性格になった背景には、母親や姉が男に振り回されて不幸になっている姿を見てきたことが影響していました。鮎美は《私はああはならない》と反面教師とし、《必要なのは“愛され続ける努力”。私がほしいのは、恋愛の先にある結婚。そして家庭。安定した人生。それが私の夢》という思想が形成されていったようなのです。  要するに、鮎美は男に気に入られるために媚びまくって生きてきたタイプで、典型的な「女に嫌われる女」。  勝男と付き合ったのも安定した人生のための計算だったわけですし、ハイスペ男を逃さないようにモラハラ気質を黙認し続けていました。つまり、アラサーのモラハラモンスターを“育てた”のは、鮎美自身なのです。

このドラマはモテ全ベット女の成長譚でもある

「いかに男性に好かれるかだけを意識して生きてきた」という鮎美は、勝男と別れた後、年下男子・ミナトと付き合い始めます。しかし、ミナトは次々に恋人を変える“大量消費型恋愛体質”だったため、鮎美は振り回され、挙句にはフラれて独り身に。  第6話では、新たな恋を探すために婚活パーティーに参加します。そこでは年収1200万円の好条件の男性に声をかけられますが、《まただ、私はまた誰かに選ばれたくて、すがろうとしている》と気付く描写がありました。  鮎美も勝男と同様に、過去の自分と決別して、変わろうともがいています。『じゃあ、あんたが作ってみろよ』は勝男の成長譚という要素が注目されがちですが、鮎美の成長譚でもあるのです。  ドラマ前半は勝男のモラハラっぷりと、そのヤバさに気付いた彼の成長がフィーチャーされていました。ドラマ後半では、メンタルが不安定な描写が多かった鮎美が、成長していく様子が描かれるのではないでしょうか。彼女が本当の意味で強く変わっていくことを期待しています。 <文/堺屋大地>
堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』(扶桑社)で恋愛コラム連載、『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。公式SNS(X)は @SakaiyaDaichi
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