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「彼らのような存在は希望です」レイプ被害を告発した伊藤詩織さんが明かす“目撃者”への想い

タクシー運転手やドアマンは“大きな救い”だった

伊藤詩織さん──作中では、「近くの駅で降ろしてください」という伊藤さんの訴えを耳にしていたタクシーの運転手、タクシーから降りる一部始終を目撃していたホテルのドアマンなど、事件についての重要な証言をするキーとなる人たちの存在が描かれています。特に結審間近でドアマンが伊藤さんに電話で「実名を出したうえで証言を使ってもらっても構わない」と伝えた会話は印象的でした。彼らのような証言者・協力者の存在をどう感じていますか? 伊藤:傍観者である多くの人が声を上げられない。でも、その人たちの証言がなければ前に進まない。といった状況の中で、あの時ドアマンの方が証言してくれたり、タクシー運転手さんが協力してくれたことは、私にとって本当に大きな救いでした。彼らのような存在がいるということは、希望です。「一人が一歩踏み出すだけで変えられることがある」、Active Bystander(行動する傍観者)になれるということを教えてくれました。こういった事件が起こった時に社会でどういった対応ができるのか、改善できる点について話すきっかけになればと思っています。 伊藤詩織さん──最後に、これから映画を観る方へメッセージをお願いします。 伊藤:正直なところ、この映画を日本で公開することに、喜びと同時に恐怖も感じています。海外で講演をして回った際、多くの優秀な日本人女性たちが、日本社会の圧力に苦しみ海外へ拠点を移している現実を目の当たりにしました。それは日本にとって大きな損失だと思います。 私自身、これから日本で生きていけるのかは、この映画の反響次第だと思っています。それでも、自分たちの身近にある「ブラックボックス」を開けてみてほしいですし、対話が生まれることを願っています。 <取材・文/山﨑穂花 撮影/鈴木大喜>
山﨑穂花
レズビアン当事者の視点からライターとしてジェンダーやLGBTQ+に関する発信をする傍ら、レズビアンGOGOダンサーとして活動。自身の連載には、レズビアン関連書籍を紹介するnewTOKYOの「私とアナタのための、エンパワ本」、過去の連載にはタイムアウト東京「SEX:私の場合」、manmam「二丁目の性態図鑑」、IRIS「トランスジェンダーとして生きてきた軌跡」がある。また、レズビアンをはじめとしたセクマイ女性に向けた共感型SNS「PIAMY」の広報に携わり、レズビアンコミュニティーに向けた活動を行っている。
Instagram :@honoka_yamasaki
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